セミリタイアしたサラリーマン投資家
2017年7月に資産500万円でセミリタイアして、海外と日本のデュアルライフを目指します。
現在ネット収入は5000円。働かなくても良い、新しい生活スタイルを実現したい。

現職のエンジニアが思う90日間セブ島の英語とプログラミング留学について

f:id:eyasu2008:20171007211750p:plain

最近SNS上にこのような広告を見かける機会が多くなった。

 

広告の内容をそのまま解釈すると、英語とプラミングを同時に学べば、90日間でエンジニア職に就くことができる。さらに、「働く場所や時間に縛られずに自由になれる」、「収入を自分で管理できいくらでも増やすことができる」、「自分の基準で仕事が選択できるようになる」らしい。 

 

大卒で9年間エンジニア職、海外に開発拠点がある企業に勤めていた経験から言うと、90日間英語とプログラミングを習ったからといって、世界中で必要とされる人材になれるわけではない。

 

90日間では、英語もプログラミングも中途半端になってしまうだろう。

 

また、IT留学を受けようとすると1ヶ月だけで30万円、3ヶ月で90万円になる。渡航費、現地での生活費、日本に帰国してからの生活費を考えると100万円以上の出費になる。

 

これで希望通りの生活が手に入るならいいが、広告に書いてあるような人材になれるわけではない。留学サイトのホームページに飛んでも、資料請求やカウンセラーを受けないと費用を教えてくれない悪質な学校もあるので注意が必要だ。

 

個人的には、社会人なら現在勤めている会社を辞めることのリスク、留学費用を考えると、効果が高いとは言えないと思っている。なぜなら、今現在IT業界は人手不足に悩んでいるので、エンジニアになることが目的なら未経験者でも転職することは可能だからだ。

 

90日間IT留学したからと言って経験者として転職できるわけではない。それでも留学したいのであれば、リスクについても理解してから選択した方が良い。

【英語xIT留学3つのデメリット】申込む前に知っておきたい事

 

留学するのであれば、費用を抑えられないか検討した方が良い。10〜12月はフィリピン留学の閑散期なので、格安で留学することが可能だ。

【NILS(ニルス)のITゼロ円留学】セブ島で英語とITが学べて学費と滞在費が6ヶ月間無料

  

とりあえず、現職のエンジニアとして上記3つの留学後の効果についてははっきりと否定しておきたい。

 

また、この手の広告でビーチの上にノートPCという絵をよく見るが、ビーチの上だと画面が見にくいし、ノートPCを使った開発はできないことは無いが、プログラミングするには向いていないし、身体がすぐに凝ってしまう。室内、机の前で椅子に座ってデスクトップPCで作業した方が倍以上のアウトプットが出せる。

本当に90日間で英語ができるようになるのか?

f:id:eyasu2008:20170121093106j:plain

まず、3ヶ月集中して英語を習ったからと言って、スラスラと話せるようになるわけでもないし、ビジネスの現場で通用するわけでもない。英語の習得は筋トレやスポーツと同様に、毎日コツコツと取り組むことで数ヶ月後に徐々に効果が現れてくるものだ。

 

1ヶ月集中して取り組んだからと言って、劇的に上達できるものではない。初心者が英語学校に毎日通っても、3ヶ月後にようやく日常会話ができるレベルだ。 

 

英語を使って仕事をしたいなら、働きながら英語を身につけることが一番の近道だと思思う。なぜなら、英語だけ学んでもビジネスの現場で必要とされる人材にはなれないからだ。本業のスキルがあり、かつ語学の需要があることで力を発揮できる。

 

本業のスキルを学びながら英語を身につける方が現実的だ。

 

現代はインターネットのおかげで、働きながらでも十分に英語を上達できる環境が揃っている。オンライン英会話を使えば、毎日30分英語講師と会話ができ、月6千円のコストしか掛からない。これを1年続けるだけで目に見えて上達できる。 

 

1度の英語留学のために仕事を辞めて、数十万円のコストを払って学校に通うよりも、仕事を続けながら10万円以下の費用で身に付けた方が効果が高い。

 

IT留学を選択した場合、英語よりもプログラミングの方に力を入れることになるので、3ヶ月学んだところで、どこまでできるようになるかは疑問だ。

 

本当に90日間でプログラミングができるようになるのか?

3ヶ月英語の他にプログラミングを習うことになるが、即実戦で使ってもらえるような人材になれるだろうか?

 

自分は、大学を卒業しプログラミング未経験でソフトウェア開発のIT企業に入社し、その企業で3ヶ月間IT研修を受けた。まず最初の1ヶ月間はプログラムの基礎知識を学ぶ、次の1ヶ月間でVBという簡単な言語で参加者と共同でシステムを開発、最後の1ヶ月に企業で使われる事を想定したWebシステムを開発した。

  

給料を貰いながらの研修だったので真剣に学んだ。システムを期間内に完成させるために、毎日遅くまで残業したし、週末も図書館やカフェに行き専門分野の資格の勉強をした。

 

この3ヶ月間で多くの事を学んだが、だからと言って現場ですぐに仕事ができるわけではない。現場に行けば、現場に必要なスキル、業務知識、職場のルールがあるので、イチから先輩社員に仕事を教えてもらう必要がある。

 

何が言いたいのかというと、詰め込みで3ヶ月必死に勉強したからと言って、即戦力になれるわけではないということ。業務経験がない以上は、3ヶ月研修してもしなくても企業から見れば大して差はないのだ。市場価値はどちらにしても無いに等しい。

 

働く場所や時間に縛られず自由に働くことができるのか?

パソコン1台あればどこにいても仕事ができるのは事実だが、効率が悪くてまともな仕事にはならない。システム開発するのであれば、開発者同士がひとつの場所に集まって作業した方が何倍も効率が良い。

 

 

冷静に考えればわかると思うが、日本企業はセキュリティに関しても厳しい、企業の財産であるソースコードや個人情報が管理しているサーバーに、外部のPCから繋げるようにはしたく無い。

 

働く場所や時間に縛られずに自由に働く事ができるエンジニアというのは、企業側がリスクを冒してでも働いて貰いたい特別な人材だけに限る。どこにでもいるような代替可能なプログラマーが自由な環境を得られるわけでは無い。

 

プログラミング初心者がプログラムを習い始めるところから初めて、プロフェッショナルな人材になるためには、最低でも10年以上はこの業界で働く必要があるだろう。

 

英語ができるからというのはあまり関係ない。

 

「収入を自分で管理し増やす事ができる」、「自分の基準で仕事を判断できる」、そんなプロフェッショナルな人材はどこの業界も5%もいない。

  

プログラマーの価値は下がっている

他業種の方から、プログラミングができて英語ができると将来仕事に困らないから羨ましいと言われるが、これは逆だと思っている。なぜなら、プログラマーほど国境の壁を越え安く海外との競争が激しい分野は他にないからだ。

 

次の2つの理由で日本人プログラマーの価値は年々下がる傾向にある。

 ・人件費の安い外国人プログラマーと競合する
・プロジェクト開発は簡易化している

 

プログラミングは世界共通言語のためライバルは世界中にいる。ライバルが多すぎるため、勝ち残っていくのが難しい上に、日本は物価が高い国なので相対的に日本人エンジニアの給料は高くなる。これだとプログラミングができるだけの人材は、人件費の安い外国人スタッフとは戦っていけない。

 

例えば、インドには優秀なプログラマーがたくさんいる。外貨を稼ぐ手段が少ない彼らにとって、ITの仕事程先進国から外貨を稼ぎやすい仕事はない。エンジニアになるために優秀な大学で英語を使ってプログラムを学ぶ。未経験者でもエンジニアになれる日本人では分が悪いのだ。

 

プログラマーの価値が下がるもうひとつの理由が、技術開発のおかげでプロジェクトを開発するために必要なツールや環境が発展し、容易に製品を作れる時代になっている。

 

グラフィッカルな開発環境は、プログラミング、デバッグ、テストなど深い知識がないプログラマーでも簡単にできてしまう。エクセルで図形や画像を張り替えてグラフを描くように、Webやスマホアプリの開発ができる。

 

そういう事情もあり、バグが発生しても致命的な問題にならないフロントエンドの開発は、途上国の人件費が安いベトナムやミャンマーに流れている。日本人が日本でプログラムをしているとコストが掛かりすぎる。

 

費用対効果はあるのか?

こうした事を頭に入れた上で費用対効果を考えなくてはいけない。

 

社会人なら留学するために現職の仕事を辞めなくてはいけない。3ヶ月の留学費用で100万円近い学費、それ以外にも渡航費、現地での生活費、日本に帰国してから次の仕事を見つけるまでの生活費も考えなくてはいけない。

 

IT業界の事情、どんなエンジニアになりたいか、それから金銭的なリスクを理解した上で留学を決めた方がいいだろう。

 

最後に

否定的な意見ばかり述べてしまいましたが、人生の選択肢を広げる上でプログラムと英語を勉強するのは非常に価値がある事だと思います。現代社会はITなしではビジネスを語ることができないからです。

 

自分は多くのことを学べたのでITの仕事に就いて良かったし、若い時に語学留学したことで人生の幅が広がりました。英語を学んでいなければ、海外で働く機会もなく日本に閉じこもって仕事をしていたと思います。

 

IT留学に関しては興味を持っているが、 過度な広告の内容を見るとちょっと疑問に思うところが正直になります。将来的に海外でキャリアを積みたいのであれば、まずは日本でIT企業に入ることが1番の近道です。セブ島IT留学は費用は高額な上に遠回りになります。