「裁量労働性=定額働かせ放題」というのがSNSやネットニュースで賑わっています。
サラリーマンを辞めてからは、この手の話題がどうでも良くなり気にしていませんでしが、目にする頻度が増えたのでこの機会に考えてみることにしました。
結論をいうと裁量労働制は経営者の問題ではなく、労働者個人の問題だと思います。不当に働かされるのが嫌なら、そうならないように努力するしかありません。
・サービス残業したくないなら職場に促すしかない
・それでも変えられないなら転職するしかない
・どこの会社でも駄目なら自分でビジネスをするしかない
裁量労働制の何が悪いの?
裁量労働制は労働基準法の定めるみなし労働時間制のひとつとして位置づけられており、この制度が適用された場合、労働者は実際の労働時間とは関係なく、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなされる。 業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用できるとされる。
裁量労働制の問題点の趣旨を抽出すると次の点があります。
- そもそも裁量労働制に当てはまらない業種もある
- 実労働時間とみなし時間がかけ離れている
- 長時間労働が蔓延している
- 実際は出退勤時間が決められている
- 休日出勤も多い
参考:裁量労働制とは|今話題の自由な働き方に隠れた5つの問題点と対処法
労働時間という概念がなくなるため、経営者が労働者を好きに働かせることから「=定額働かせ放題」となっているようです。
経営者の問題ではなく個人の問題
深く内容を調べたわけではないですが、現状とあまり変わらないのではないか、なぜこれだけ賑わっているのか理解できませんでした。現状の制度でも「みなし残業」とか「フレックス制」、「年棒制」という形で、実質残業代が支払われない労働者はたくさんいます。
反対しているのって、残業代が100%支給される大手企業の方でしょうか。
働き方をどうしたいかというのは、法律や経営者ではなく個人の問題でしかありません。そもそも、サービス残業は違法という建前ですが、実際にはたくさんの現場で許容されています。いままでと何が違うのか純粋に理解できませんでした。
残業代が出なくても残業したい人たち
あくまで自分が見てきた労働環境の話ですが。
残業代が出ない職場で働いていましたが、なんだかんだ皆残業したくてしているのではないのかなといつも疑問に思っていました。絶対に残業したくないと思い日々仕事をしていましたが、いつも周りと温度差を感じその度にストレスを抱えていました。
1日は8時間しかないのになくても困らない会議を入れられるし、 ある日突然先輩社員が勉強会をやろうと言い出し強制的にアウトプットの要求をされたことがあります(無駄なのででやらないですが)。仕事が暇で時間が余っているならともかく、全員が残業している時にやることなのか。
新人の教育担当をしている中堅社員は、故意的に定時に帰らせないような教育をしているのかなとも感じます。ITの仕事は納期があるのでプロジェクトによって作業時間が増えますが、納期がない研修で残業している光景を見ると違和感があります。
内心では「自分たちもしてきたことだからお前たちもやれ」とも捉えることができます。もしくは「おれたちがサービス残業で稼いだお金だから楽するな」とも思っているかもしれません。
あげればキリがないですが、こうしたことは数社勤めてきた中で日常茶飯事で目にしてきた光景です。
「経営者(もしくは給与査定する人)の空気を勝手に読んで、やらなくてもいい仕事を自分たちが勝手に作り出しているのではないか?」と思っています。システム開発はチーム単位でするものなので、周りも定時に帰ろうという強い意思がないとひとりだけ帰るのは難しいです。
こういう事例があるから、個人でできるビジネスが人気を集めているのかもしれません。
残業代を出すのがいいわけではない
「 じゃあ労働時間に応じて残業代を払えばいいのか?」と言われると、それは解決策にはならないと思います。残業代を支払うと、仕事ができない社員にたくさん給料を支払うことになるからです。処理能力が高く仕事ができる社員の取り分が減り、職場がカオス化していきます。
優秀な人材は職場を去り、仕事が遅い労働者が高い給与を貰い、仕事を早く終わらせることに目的意識がなくなり、堕ちるところまでいくとプロジェクトは赤字化していきます。
結局のところ、残業しないように仕事を終わらせることを目的にするしか解決策はありません。
サービス残業を強制されるなら辞めるしかない
サービス残業することを経営者から脅されたり、上司から強制されるような職場ではもう辞めてしまうしか方法はありません。個人の努力では組織は変えられないからです。また、そういう企業はブラックの可能性が高いため、給料を労働時間で割ると派遣やパートよりも安かったりします。
サービス残業を強制させられると知りながらそこに居座るのであれば、それは自己責任としか言いようがありません。
裁量労働制まとめ
裁量労働制が取り入れられようが、現状のままだろうが労働者にできることは限られています。
・サービス残業したくないなら努力するしかない
・それでも変えられないなら転職するしかない
・どこの会社でも駄目なら自分でビジネスをするしかない
他人に期待したり、定額働かせ放題だと批判したところで現状は何も変わりません。他人に依存する労働者が多いせいで、無駄に残業時間が増えていくのではないかと個人的には思います。率直になぜこれだけネットで盛り上がっているのか疑問に思いました。