「人生は短い」 欧米の人はよく言います。自分が納得できる人生の展開とは、どういうものなのか? それを実現させるのは簡単なことではありません。しかし、不可能ではないのです。しぶとく立ち向かい、決して諦めないことです。現代の日本人には、その可能性があります。
著者は何の事業をやるか決める前にカナダで会社を興し、自ら労働ビザを発行させ移住することを決めました。何のビジネスでお金を稼ぐか決めたのは移住してしばらくしてからのことです。
ビジネスの内容を決めていなくても海外で起業できることにも驚きましたが、この行動力にも脱帽しました。セミリタイアをしたいしたいと言いながら実際に行動に移せる人は多くはありません。
最近はこうした書籍を読みながら、セミリタイアやスモールビジネスなど実際に行動できる人と、いつまで経っても行動できない人の違いはなんだろうと考えながら読むようにしています。
行動力がある人とそうでない人には、やはり大きな壁があります。
親が個人事業主を経験している
独立してスモールビジネスに成功している人は、親かその親が個人事業主というケースが多いように思います。
会社に属せずに働いている親を持つ人は、親の背中を見て育っているので、そうでない人たちよりも最初のステップが軽いです。親の世代もサラリーマン、その親もサラリーマンという家庭に育った人に比べて脱サラ後の生活が想像しやすいのが理由ではないかと予想しています。
何かを成功させるためには、準備をするだけの時間が必要になります。初めてすぐに成功できるもの、あらかじめ成功すると分かっているものなんて、世の中にほぼ存在しません。
働き始めてからお金が発生しない期間というのを人生で一度も経験したことがなサラリーマンは、やりたいことを軌道に乗せるために必要な準備期間というのを想像できません。
この著者にしてもセミリタイアを成功するために、事前に調べたり現地に何度か出向いたり1年以上かけて準備しています。その期間に発生する報酬はありません。著者は準備に時間を掛けるよりも、実際に行動した方が早かったとは言っていますが。
アフィリエイトやスモールビジネスで成功する人たちも、1~2年紆余曲折しながらなんとか軌道に乗り始めます。
サラリーマンは確証がないことについては行動できません、それはそう風に日々教育されているからです。仕事でも利益が見込めないものはすぐに撤退するか、見込める保証がなければ次のステップには進むことができません。
1~2年間も収入がない状態が怖いために、行動に移せない人はたくさんいます。
親もその親もサラリーマン
バブルが崩壊し、経済が上向かない日本のサラリーマンは逃げ場を失い窮屈な生き方をしています。
日本という島国に縛られ、会社組織に縛られ、家庭に縛られ、マイホームを持つことで借金にも縛られています。窮屈な生き方をしながらも、逃げ道を作れない人はたくさんいます。
サラリーマンでいることが当たりまえだと考えている日本人は多いですが、最初からそうだったわけではありません。実は、戦後のサラリーマンの割合は全体の半数以下です。
1953年、42%
1959年、50%
1993年、80%
統計 - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/06/dl/1-1c.pdf
戦後日本のサラリーマン比率は42%から、現在は87%まで上昇しました。一方で自営業者は554万人と全体の8%しかいません。
戦後サラリーマンが増加したことで、親もサラリーマンそのまた上の親もサラリーマンという人も珍しくなくなってきました。そうするといざサラリーマンを辞めて生活しようと思っても、どうやって生活していいのか想像ができません。
自分もサラリーマンを辞めたいと思いながらも中々行動できない内のひとりです。自分の身内に自営業で生活している人がひとりでもいたら、もっと早くに行動できていたのかもしれません。
父親でさえサラリーマン以外の道で生きていく術を知らないのに、自分の子供にその生き方を教えることは不可能です。とくに、仕事から帰ってお酒を飲みながらテレビを見て寝るだけという生活が好きな世代からは、教わるようなことはあまりありません。
自立心がなくなっていく
日本で生活していると窮屈に感じることはたくさんあります。
仕事をするためだけに生きているわけではないので、もっと柔軟に働けたらいいなあと常々思いますがそういうわけにもいきません。たかが仕事のために夜遅くまで働き、ヤリタクナイことで精神をすり減らすことに耐えるのは、自分が望む道ではありません。
海外でセミリタイア生活を送ったり、仕事を辞めてネット収入を得ながら放浪する人が多いように、同じように考えている人はたくさんいます。そういう人たちの本を読むと自分もやってみようという気持ちにさせてくれます。
日本人だけではないと思いますが、経済が縮小していく中必死に日本社会にすがり付いているサラリーマンを見ていると、自分の生き方や自分の人生に自信を持つことが出来ない姿に萎えてしまいます。自分の生き方を他人に左右されることで満足している人がたくさんいます。
会社に属し、会社から給料を得ることしか頭にない人たちと話していると、息苦しさがあります。
身内が過労死させられたから会社に訴えようとか、長時間労働を是正してほしいから政府に助けてもらおうとか、常に他人本意なところに自立心の無さが見えてしまいます。