知り合いで投資をすると言いながら中々やらない友人がいます。
どうしてやらないのか聞いてみると、損をしたくないからそのためにまだ勉強しているといいます。
なんだかんだそういう理由をつけては2年くらいやらずにいます。
投資で絶対に損をしないという選択はありません。
勉強をすればするほど損をしないのであれば、だれもが必死に勉強をします。
こういう考えをしている人に言いたいのは、じゃあプロの機関投資家はみな勉強していないから損をするのか?ということです。
彼らは一般の個人投資家と違い、日中も投資のことで頭をフル回転させています。エンジニアが週末にプログラムの勉強をするように、彼らも週末は経済や投資に関することを勉強しています。
それでも勝てないのが投資の面白いところです。
必死に勉強をすれば上手くやれるというのは思い込みです。リスクを減らすことはできますが、リスクをゼロにすることはできません。リスクを減らすためには机上の勉強よりも、経験を積みながら自分に必要な知識を吸収していくことです。
どれだけ事前にデータをかき集めて競馬をしても負けるし、どれだけ事前に市場調査をしてビジネスを始めても失敗するときは失敗します。状況は刻一刻と変化し、その中でどう対応できるかが重要になるからです。
勉強をすることで投資で負けなくなるのであれば、損をする機関投資家は誰もいなくなります。勉強することでマイナスにならないのであれば、それほど有難いことはありません。皆必死に勉強します。
しかし、現実はそんなに甘くはありません。
いくら勉強をしてもタイミングが悪ければ損をするし、どれだけ優秀な投資家でも損をするときはあります。
投資で重要なのは経験
一番怖いのは、投資をしないことでその機会損失を失っていることです。投資では勉強も大事ですがそれ以上に重要なのは経験です。
経験しながらでも勉強できることを、一度も経験せず勉強することには何もメリットはありません。時間を浪費しているし、世の中には実際にやってみた方が早い、ということはたくさんあります。
クルマの運転をしてみる前に、どれだけクルマの運転方法を必死に勉強しても意味はありません。最低限必要なことを教えてもらったら、あとは実地訓練をすれば十分です。クルマを運転しながら運転しているだけでは身に着けられないことを徐々に勉強していけばいいのです。
サッカーが上達したいと思っている子に、いくら専門書を読んでボールの蹴り方を勉強させても時間の無駄です。実際にボールを蹴らせた方が早いです。ボールの蹴り方に疑問を感じた時に、本を読んで自ら勉強させてあげればいいのです。
なぜか投資の話になると、よくわからないから勉強してからやろうと思う人は非常に多いです。誰もがそうですが、個人投資家の大半はみな、右も左もわからない状態から投資をスタートしています。
最初からやり方を知っている人なんていません。
普通の人の感覚って
投資では絶対に損をしたくないというのは現実的に不可能です。財産を持っている以上はどこかにお金を投資しています。
投資をしていないと言っても、実際には日本のサラリーマンは日本円に全財産を投資しています。投資家からみると、ひとつの金融商品に全財産を投じることほど怖いものはありません。
円は他国よりも安全かもしれませんが、それでも一国が発行する通貨にしかすぎません
。
通貨は長期でみると価値を失うというのは歴史が証明しています。損をしたくないと言いつつも、円通貨に過度に投資してお金を少しずつ失っているのです。
デフレ経済だから銀行口座に通貨を保有しているというのは、過去20年では通用しましたが、これからは通用しなくなります。
この友人にはお酒の席で、過去に何度も説明しているのですが、いまいち理解してくれません。その場では納得してくれるのですが、また数日後に一緒に飲んでいると、まだ勉強中だといいます。
投資をしたことがない普通の人の感覚というのは、そういうものなんでしょうか。