ここ一週間でシャープの株が急上昇しています。
18日に139円だった株価は、現在に422円まで高騰しています。理由は単純で、17年3月期が40億円(前年同-1619億円)前後の黒字になるとシャープが発表したからです。
純利益は-400億円(前年同-2559億円)と予想しています。シャープの予想通りに進めば2100億円、利益が上向いたことになります。
業績予想が黒字になると報道されただけで、株価がこれだけ一気に急騰しました。
1週間の株価だけみると25%前後の上昇ですが、3カ月前は90円だったのでわずか3カ月で2倍になりました。そこから4.8倍上昇したことになります。
リストラや給与カットすれば黒字化
シャープに投資する上で多くのことは期待していませんが、すでに危機は脱したのでかなりイージーな投資だと思っています。
赤字企業を黒字にすること自体はそれほど難しい事ではありません。それを内にいる経営陣ではなく、外から来た経営陣であれば猶更です。
単純な話、採算が取れる部門だけを残し社員のリストラと給与カットを実行すれば簡単に黒字化を達成できます。シャープの売り上げの半分近くはテレビ事業が占めますが、赤字の原因はテレビ事業です。それ以外の部門は意外にも黒字のところが多いです。
元からいる経営陣がリストラを実行するのはそう簡単ではありません。合理的な数値の判断よりも、部署間や役員同志の人間関係が深く混ざり合っているため、感情に流されてしまいます。
リストラや給与カットはドラスティックな判断が必要とされますが、外部の人間であればそれほど難しくありません。それが台湾出身の華人ならよりうまく行動してくれそうです。
シャープがこの先、問題を抱えるテレビ事業を復活させ、韓国のLGを超えて再び世界一の座に着けるとは思っていません。日本の液晶事業に明るい未来が訪れるとも思っていません。
シャープに投資する理由は単にシャープの株が割安だからです。
楽観的に考えると上値は青天井
ここ4~5年くらい、シャープの経営危機が噂されるようになり株価は乱降下していました。リーマンショック前には2000円以上あった株価ですが、2012年には800円まで下落、そこからさらに下落して2016年は150円まで行きつきます。
シャープに大きな変化が起きないかずっと待っていましたが、鴻海が買収に名乗りをあげたことで状況が一変します。
2016年にシャープの株価がここまで暴落したのは、2014年あたりから赤字が自己資本を食いつぶし、債務超過になるのは時間の問題だと言われていたからです。そしてそれが現実のものとなり、2016年に銀行が融資しなければ倒産となりました。
ジャパンディスプレイがシャープのテレビ部門を買収すると報道されるようになります。この時点でシャープには選択肢はありません。
政府の産業機構が出資するジャパンディスプレイに買収されれば、半導体と同じ運命を辿ると思い、シャープの株を見送るつもりでした。
鴻海の買収によって資金繰りの問題がなくなったのは良い知らせです。国民の税金ではなく中国本土をバックに持つ台湾企業の買収です。
中国系の電機事業が日本企業を買収して今後どうなるかという興味もあります。鴻海の会長郭台銘(テリーゴウ)は連結売上高15兆円を達成し、一代で台湾一の企業を作り上げました。その手腕も問われます。
中国と日本の企業が手を組んで韓国のLGにどれだけ対抗できるのか、見どころが満載です。
鴻海の買収によって140円から90円まで株価が下がりましたが、それは株価88円、出資比率の66%で買い取ると公表されたからです。大株主になる企業が88円で買い取ると公表すれば、市場価格はその株価に近付きます。
シャープが決算の赤字を脱すれば2013円の400円あたりまで回復してもおかしくありません。そのハードルは決して高くはありません。
鴻海と手を組んだことにより韓国企業を圧倒することができたら、上値は青天井です。