セミリタイアしたサラリーマン投資家
2017年7月に資産500万円でセミリタイアして、海外と日本のデュアルライフを目指します。
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シャープのライバル、ジャパンディスプレイの株価と決算 平均年収698万円

 

ジャパンディスプレイ(JDI)は2014年から上場し、官製ファンド傘下で日立、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を搭載して発足された企業です。

 

 

ジャパンディスプレイはすでに経営危機

 

ディスプレイ事業は目立つし華がある部門ですが、歴史をみると常に消耗戦の繰り返しです。パソコン用モニタ、テレビ、スマホ市場と主戦場を変えてきましたが中身は一緒です。

 

継続的な設備投資が必要でコストが掛かり、その割に競争相手が多く利益を上げることができません。近年では韓国や中国をはじめとする新興国が液晶パネルを創るようになり、日本のディスプレイ事業は明らかに経営難に陥っています。

 

そこで日立、東芝、ソニーの3社は、採算の取れないディスプレイ事業を切り離し、官製ファンドのお金(税金)を使って発足されました。

 

そして早くもジャパンディスプレイの経営に黄信号が出ています。液晶不振ではやくも銀行や産業革新機構に融資を求めています。

 

半導体事業を見れば明らですが、政府が資金を提供すれば儲かるほどビジネスは単純ではありません。弱者が集まって経済的に合理性がない企業にいくらお金を使ったところで、事業が再生されることはありません。

 

政府からお金が出ることにより、より競争力のない企業に生まれ変わります。

 

国内の液晶パネル製造といえば、もはや3社がまとまったジャパンディスプレイとシャープしかありません。

 

国内だけの競争でいえば、日本政府が支援するジャパンディスプレイか中国系の鴻海が支援するシャープの一騎打ちです。どちらに投資するかと問われれば、税金で支援される企業は最終的にろくな結果にならないため、シャープに投資します。

 

シャープの液晶パネルはジャパンディスプレイの登場でより苦境に陥りましたが、ジャパンディスプレイが勝手に失速してくれれば、シャープにとっては有難い事です。

 

中日新聞

JDI、銀行団に融資要請 最大5百億円、環境悪化で:経済:中日新聞(CHUNICHI Web)

 

ジャパンディスプレイの株価と決算

 

Yahooファイナンス-ジャパンディスプレイ

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売上高、営業利益、経常利益、当期利益
14年、6145億円、276億円、19億円、339億円
15年、7693億円、51億円、18億円、-122億円
16年、9891億円、167億円、-129億円、-318億円

 

ジャパンディスプレイは設立から、それほど年月が経っておらず上場したのも2014年3月と最近の話です。上場時に800円を付けた株価は、はやくも200円前後まで下がっています。

 

売上高は順調に推移していますが、利益が出ない体質で純利益だけみると15年も16年も赤字で、赤字幅は上昇傾向にあります。

 

自己資本比率は、44.6%、48.2%、53.3%とかなり高いです。これは出資先が政府ファンド(税金)だからです。倒産する確率は極めて低いです。ただ、利益を上げられる企業になるかといったら、かなり厳しい現実があります。

 

ジャパンディスプレイの売上高のうち8割はスマホ向けの販売です。そしてそのうちの4割がアップルの向けの販売です。残りは中国などのスマホ向けです。つまり、iPhoneの売り上げと中国のスマホ市場に大きく左右されます。

 

売上高が伸びているのはiPhone向け販売が好調なこと、売上げ増の割に利益が出ないのは、ディスプレイ事業が利益が出にくいという体質があること、赤字幅が膨らんでいるのは、中国をはじめとするスマホ市場の失速が大きいからです。

 

早くもジャパンディスプレイは、2017年第一四半期の売上を前年同期比21%減、営業利益を55%減と予想しています。

 

売上げよりも本業の儲けを示す営業利益の方が、大きく下がることを予想しています。ジャパンディスプレイの決算を見れば、わかりますが売上げの割に営業利益が小さすぎます。ディスプレイ事業が儲からないことを顕著に表しています。

 

ディスプレイ事業の比率が高いシャープが赤字を脱却できない理由も同じです。

 

ジャパンディスプレイの主力スマホが不振

 

ジャパンディスプレイの売上げはスマホに大きく依存しています。スマホ市場が失速されば当然、この企業の業績も失速します。

 

2007年にiPhoneが発売され、スマホ市場は世界中に急速に広がりました。それから9年が経ち、ようやく成長が鈍化してきた感があります。ほぼ先進国にスマホは生き渡った感があります。

 

先進国から少し遅れて、新興国の中国でも急速に広がりました。最近のiPhoneやスマホの販売増を支えているのは巨大な中国市場です。しかし、とうとうその中国でも成長が止まりはじめています。

 

つまりジャパンディスプレイの成長にも限界が見えたことになります。こうなることはある程度前からすでに予想されていたことです。

 

スマホ依存から抜け出せず、その状況下でも利益を出せなかったことを考えると、ジャパンディスプレイの将来はそれほど明るくはありません。

 

ディスプレイ事業は有機ELがカギを握る

 

ジャパンディスプレイの株価は決算の数値以上に大幅に値を下げています。その最大の理由は、アップルがiPhoneのディスプレイに有機ELを採用すると決定したからです。

 

売上げの8割をスマホ、そのうちの4割をアップルから稼いでいるジャパンディスプレイにとってこれは大きな誤算です。

 

有機EL事業は日本が先行開発していましたが、コストが高く採算がでないと判断し撤退した分野です。いまや有機EL事業で先端をいくのは韓国のLGやサムソンです。

 

韓国勢はコスト高のハンデよりも、有機ELの自発光機能でバックライト光源が不要になることで薄型化の実現、画像の鮮明度、低電力消費のメリットを付加価値として開発してきました。

 

これをiPhoneが採用してくれれば十分に採算が取れます。LGはこの分野への設備投資に1兆円使うと宣言しています。

 

シャープは鴻海の買収により、有機ELパネルに2000億円投資することを決めています。後発で投資額も少ないシャープが先行企業に勝つのはかなり難しいです。

 

ジャパンディスプレイは有機ELパネルに投資するお金を用意するのも難しい現状です。


ただ、鴻海はアップルから多くの製品を受注しています。その鴻海がシャープを買収したのは何か理由があるのではないかと考えています。

 

そういう理由がなければ、赤字を垂れ流す日本企業を買収するというのは少し考えにくいです。3800億円のうち2000億円を有機ELパネルに投資というのは少なくない金額です。

 

普通であれば、赤字の原因にあるディスプレイ事業を完全に切り離し、黒字の部門に力を入れるべきです。鴻海が欲しいのは、シャープのディスプレイ部門ということがわかります。

 

鴻海にはアップルの有機ELの契約を決める算段があるのかもしれません。当初7000億円の投資額と言われていましたが、最終的に3800億円まで落とし込みました。鴻海の代表はかなり抜け目がない人物です。

 

鴻海がシャープの買収にこだわったのは、アップルとの間で秘密裏に協定があるのかもしれません。

 

iPhoneに有機ELが搭載されるのはまだまだ先の話ですが、今後どうなるか注目したいです。

 

今後はシャープに追い風、ジャパンディスプレイに逆向きの風が吹く可能性があります。シャープの株価はここにきて、順調に上昇を始めています。

 

日本経済新聞

有機ELディスプレイ採用のiPhoneは3年後に登場−日本経済新聞 - iPhone Mania