セミリタイアしたサラリーマン投資家
2017年7月に資産500万円でセミリタイアして、海外と日本のデュアルライフを目指します。
現在ネット収入は5000円。働かなくても良い、新しい生活スタイルを実現したい。

独企業がドイツ銀行支持で結束 GDPの20倍を超えるデリバティブ商品

 

メルケル首相率いる政府はドイツ銀行を救済しないと発言しました。しかしそのドイツ銀行を独大手企業が支持するというニュースが流れました。

 

ダイムラーのCEOは、ドイツの力強い経済には強い銀行が必要と述べています。

 

「ドイツ銀には素晴らしい伝統と強固な基盤があり、それに基づく明るい将来がある」

 

日本であれば三菱か住友銀行を、トヨタやホンダ、NTTが救済するようなものです。本来資金を提供して救済するはずの銀行が、企業によって救済されるというあり得ない事態が発生します。

 

ヨーロッパの優等生と言われてきたドイツですが、最近ではフォルクスワーゲンの不正問題など今まで隠れてた部分が表面化するようになりました。

 

ドイツが倒れればドミノ倒しのように欧州連合国がバタバタ倒れます。

 

Yahoo News

ドイツ銀支持で独大手が結束 | 2016/10/3(月) 16:15 - Yahoo!ニュース

 

 

政府も救済できないほどのリスクを抱えるドイツ銀行

 

ドイツ銀行の危機は、米国担保ローンに絡む不正販売を巡って、米司法省が140億ドル(1兆4000億円)の支払いを求めていることです。

 

しかしこれより怖いことは、ドイツ銀行が大量のデリバティブ商品を抱えていることです。

 

ドイツのGDPが4兆ドル(約400兆円)に対し、ドイツ銀行が抱えるデリバティブ商品は75兆ドル(約7500兆円)と言われています。

 

デリバティブ(金融派生商品)とは、通貨、債券、株式、金などの現物市場と連動して価格が変動する商品を対象にした取引のことをいいます。デリバティブ自体を投機対象とする取引きが拡大し、規制強化や情報開示を求める動きが高まっています。

 

年初22ユーロあったドイツ銀行の株価は、現在は11ユーロまで下落しています。国際通貨基金(IMF)が発表した「金融システム安定性評価」レポートでリスクが高い銀行として評価、アメリカFRBのストレステストでも不合格です。

 

ドイツ政府からみたらドイツ銀行を救済しても救済できないのが現実です。独大手企業からみたらドイツ銀行が破綻すれば、自分たちも危ないのでなんとか救済する他ないというのが現実です。

 

ドイツ銀行が巨額なリスクを抱える理由

 

リーマンショックの時にリーマンブラザーズ投資銀行がリスクの高いデリバティブ商品を大量に抱えて破綻しましたが、ドイツ銀行のような権威のある銀行が、このようなリスクの高い取引をするようになったのはそれほど昔のことではありません。

 

ここ数10年間の話です。日本であれば、金融ビッグバンと呼ばれる1996年から2001年に行われた大規模な金融制度の緩和からです。

 

銀行ももはやリスクの高いヘッジファンドなど中身は大して変わりません。投資銀行と呼ばれる銀行も中身は証券会社です。

 

本来、ドイツ銀行のような銀行の業務は、不特定多数の市民から貯金を預かり、市民から集めたお金を企業などに貸し出してその金利差を稼ぐのが本来の業務です。

 

銀行と投資銀行のような証券会社との違いは、現行は中央銀行からお金を借りることができるが、証券会社はできません。

 

間接的に民間の銀行は、中央銀行が市中に出回る貨幣供給量を調整する手助けをしています。大きな民間の銀行は、倒産しないように厚い自己資本を求められるなど厳しい規制が課されています。

 

銀行が倒産すると、銀行がお金を貸している企業から資金を引き揚げようとするため、連鎖的に企業が倒産するリスクがあります。そのため、銀行が倒産しそうになると国民の税金を使って救済されます。

 

銀行が本来の業務を行っていればそれほど被害は大きくないですが、現在ではドイツ銀行のような権威ある銀行も過大なリスクを掛けて投資を行っているため、影響は計り知れません。

 

ひと昔前だと、リスクの高い取引をしているヘッジファンドは潰れて当然だと非難されていましたが、現代では銀行も大してかわりません。

 

そしてドイツ銀行の話に戻ると、政府の税金でも救済しきれないほど巨大化したリスクを、民間企業が救済しようという話です。


リーマンショックから何も学んでいない

 

リーマンブラザーズ投資銀行は、大量のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を抱えて倒産しました。

 

クレジット・デフォルト・スワップとは、デリバティブ商品の一種です。

 

買い手は債権者や投資家で、プレミアム(保証料)を支払う代わりに、契約の対象となる債権(融資・債券等)が契約期間中に債務不履行(デフォルト)になった場合、それによって生じる損失(元本・利息等)を保証してもらえます。

 

つまり債権が紙くずになった時のために保証料を払ってあらかじめ保険をかけるという意味です。

 

世界のデリバティブ残高は、2015年で550兆ドルと言われています。ドイツ銀行が所有しているのはそのうちの10%、55兆ドル前後のCDSを保有していることになります。

 

ドイツ銀行の銀行マンたちは、リーマンブラザーズの破綻から何を学んできたのでしょうか。

 

破綻したリーマン・ブラザーズの負債総額は約70兆円でしたが、ドイツ銀行の負債総額は260兆円にも達すると言われています。

 

国の企業を支える大手民間銀行が、これだけのリスクを取って取引をしてきたことを考えると、ドイツ政府が国民に水や食料の備蓄を呼び掛けた理由も理解できます。