セミリタイアしたサラリーマン投資家
2017年夏にセミリタイアし、海外と日本のデュアルライフを目指します

「深夜特急」を読み終えて、旅は人生と同じで計画通りに進まないから楽しいと思う

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ようやく「深夜特急」が読み終わった。 自分はこのいち文が一番心に残った。

 

アジアからヨーロッパへのバスに乗るとき 

ほんのちょっぴり本音を吐けば、人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、真実をきわめることもなく、記録を作るためのものでもなく、血湧き肉躍る冒険活劇でもなく、まるで何の意味もなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうにないことを、やりたかったのだ。

(出典:「深夜特急/沢木耕太郎」)

 

Kindle: 深夜特急(1~6) 合本版

 

著者の沢木耕太郎は、1973年、26歳、まだインターネットがないときにインドのデリーからイギリスのロンドンまで乗合バスでいく物語である。作者は1900ドルを持って旅に出た。

 

1973年というと米ドルの固定相場で1ドル300円、日本円に換算すると57万円、大卒の初任給が6万円前後なので、現在の価値でいうと200万前後ということになる。

 

当時の東南アジアやインド、中東の物価にも驚くが、それ以上に日本のインフレにも驚く。著者はシングルで過ごし2、3百円程度の宿に泊まり貧乏旅行をするが、現代のバックパッカーが同じような旅をしようと思えば、最低でも400万円は必要になるのではないだろうか。 

 

 

終わりがない旅

 

自分もこの深夜特急のような終わりが定まらない旅をずっとしたいと思っていた。

 

初めてひとりで海外旅行するようになったのは23歳の時、友人の中国人を訪れるために会社の夏休みを利用してシンガポールまで旅したときである。シンガポールまでは往復で38000円のチケットが取れた、東京から自分の実家に帰るのに8000円しか違わないことに驚いた。

 

そこから海外の魅力に取り憑かれていったが、一方でいつも終わりが決まっている旅に不満を持っている自分がいた。

 

会社の休みは1週間しかない、行きのチケットを取ると同時に帰りのチケットも取らなければならない。休み明けに必ず会社に出社するために、ガイドブックを読み事前に泊まる都市、訪れる場所を調べておかなければならない。

 

連休明けで初日から休むのは、若手社員にとって心境が悪い。

 

決められたスケジュールの中で予定を詰め込むのが好きな人もいるが、自分は真逆だった。その時の気分で好きな場所に行き、その場所が気に入ったら好きなだけ滞在し、また次の都市に行くような旅がしたいと思っていた。その思いは旅を重ねるごとに強くなっていった。

 

これこそが本当の旅だと思っていた。

 

人生初のヨーロッパ旅行

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イタリアのペルージャ

 

アジアの極東にすみ、会社の休みが1週間しか与えられていないサラリーマンにとって、ヨーロッパや南米、アフリカというのは一生に1度行けるかどうかというくらい難しい。学生の卒業旅行か、新婚旅行、定年退職後、もしくは仕事を辞めて働かない期間を作らなければ中々訪れることができない。

 

飛行機の移動だけで1日半、繁盛期の航空券を取ろうとすると今の原油価格ですら15万円を超えるし、ヨーロッパだとホテル、レストラン、交通は日本よりも高い。

 

日本は消費税が安く収入にかかる税金が高いのでサラリーマンに厳しく旅行者には優しい国だが、ヨーロッパは消費税が高く旅行者の負担は大きい。フランスやイタリアの有名な観光地は外国人の観光客だらけ、地元民は誰も高価なレストランで食事なんかしない。

 

金銭的にも時間的にも普通のサラリーマンにヨーロッパ旅行はハードルが高い。近場で物価が安く、安価で航空券が手に入るアジアのようにはいかない。

 

2015年の年末に、初めて人生初のヨーロッパ、北イタリアを訪れた。

 

会社から与えられた休みの期間は10日間、飛行機の往復移動だけで3日は潰れてしまうので、実質与えられている期間なんて7日もない。

 

そのせいで珍しく念入りに旅行の計画を建てた。いつもなら1日目のホテルさえ予約しないで旅に出るのだが、当時付き合っていた彼女が一緒だったこともありすべて事前に予約を入れた。

 

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1日目、ローマ

2日目、ペルージャ

3日目、シエナ

4日目、フィレンツェ

5日目、ピサ

6日目、ジェノバ

7日目、ミラノ

 

イタリアは見所が多い街である、北イタリアだけでも1週間だけではとても回りきれない。他にも行きたいところはたくさんあった。毎日ホテルを変えて移動しても、ベネチア、トリノ、ボローニャには行くことができなかった。

 

この旅をすることで心底サラリーマンでいることが嫌になってしまった。

 

ペルージャは期待していたよりもとても素晴らしい街だった。この街に2、3日滞在したいと思っていたが、自分には時間は許されていない。ジェノバに行ったが、そのすぐ隣はF1グランプリで有名なモナコがあり、その隣はフランスのニースがある。

 

ジェノバから電車に3時間乗ればもうそこはニースである。しかし翌週の月曜日から会社に出社しなければならない、そのためには自分が建てた計画通りに行動しなければならない、予定を変更することは許されていない。

 

まるで鎖に繋がれたペットのような気持ちだった。会社の休みを利用して行きたい場所に自由に旅しているつもりでも、いつも会社からは逃れられない。繋がれた鎖の範囲中で行動しているに過ぎないのだ。

 

仕事を辞めて翌々月からはフランスにしばらく住むが、彼女の実家はイタリアの国境近くにあるため、いつでもフランス国内もイタリアも旅行することができる。仕事を辞めてから、初めて自由に生きているという感覚を味わった。

 

計画通りに進まないから人生は楽しい

 

<さて、これからどうしよう……> 
そう思った瞬間、ふっと体が軽くなったような気がした。
今日一日、予定は一切なかった。せねばならぬ仕事もなければ、人に会う約束もない。すべてが自由だった。そのことは妙に手応えのない頼りなさを感じさせなくもなかったが、それ以上に、自分が縛られている何かから解き放たれていくという快感の方が強かった。 

 

こうした旅以外にも自分はサラリーマンという枠の中で生きることにずっと違和感を持って暮らしていたと思う。多分、何も違和感を感じずに過ごしている人の方が大半だと思う。

 

例えば、就職のために採用担当者を面接をするが、趣味が海外のひとり旅だと答えるとどういうストーリーを用意するだろうか。

 

計画を立てずに放浪するのが好きと答えると、それで?と言われてしまう。

 

決まった旅の期間の中で事前に計画を建てること、電車が時間通りに来なかったとかホテルが取れなかったなどハプニングが起きても、どうやって計画通りに旅を進めたかという話が期待されている。この時にひとつふたつエピソードを紹介する。面接官も旅行好きですでに技術的な要件を満たして入れば、採用がぐっと近くなる。

 

知らず知らずのうちに面接の場では面接官が喜ぶ話を作ることを、大学やリクルーター、転職本から教え込まれている。趣味が旅行でなくても似たようなテンプレートがいくつもある。

 

リクルーターは学生や転職活動者からお金を報酬を得ているわけではない、彼らは企業からお金を貰っているので、企業にとって都合のいいようにしか基本的に動かない。彼らはお金を貰わずに無償で働く姿を見て、素直にアドバイスを聞く学生は多いが、彼らはボランティアでしているわけではない。

 

日本の会社組織では仕事が計画通り進むために、いかにプライベートの時間を犠牲にして働けるどうかが優先されている。特にIT業界は、納期が厳しく長時間労働が求められる職場だ。計画を立てずに気楽に放浪していた、それでも構わないと答えるとIT業界では適性がないと判断されるだろう。

 

テンプレート通りに答えることにずっと下らないと思っていたし、計画通りに旅を進めたがる人間は本当の旅人じゃないと思っている。

 

旅は人生と同じで計画通りに進まないからこそ面白いのだ。計画なんて何も意味がないものだし、計画を立てれば立てるほど、そのとき時の予定外の出来事を楽しめなくなってしまう。

 

サラリーマンとして生きることと、旅をして生きることは真逆の考え方なのだ。こういう考えを持っている人は社会不適合者になってしまう。

 

深夜特急のDVD

  

深夜特急の文庫本を読み始めたのは、仕事を辞める少し前、仕事を辞めてから20日経った頃にようやく全6巻を読み終えた。仕事を辞めたら暇になるから2、3日で読み終えると思っていたが意外と時間が掛かってしまった。 

 

ネットビジネスで忙しかったわけではない。朝からスポーツジムに行ったり、都内を1日中散歩したり、海外ドラマを見たり、Youtubeを見てダラダラ過ごしていたら、20日があっという間に過ぎた。

 

サラリーマン時代は、週末や会社の連休に合わせてアマゾンでビジネス書や投資本を買い漁って、いかに効率よく多くの本が読めるかということを考えていた。今は気楽にのんびりと過ごしている。

 

昔は仕事がストレスになるという理由で、深夜特急などバックパッカーが読むような本は意図的に避けていた。仕事を辞めて海外に飛び出したくなるのが苦痛になると思っていたからだ。いまは飛び立ちたいと思った時にいつでも飛び立つことができるからこそ楽しく読める。自分に正直に生きるために、もっと早く読んでいればよかったと思うくらいだ。

 

ちなみに深夜特急はドラマで映像化されている。 2002年、大沢たかおが著者を演じている。昔、インドに駐在していたマンションにDVDが置いてあったので見たことがあるが、もう一度映像化された深夜特急を見ることにした。

 

アマゾン:劇的紀行 深夜特急 [DVD]

 

深夜特急が有名すぎて知らなかったが、著者は他にも小説や旅行記を書いている。

 

アマゾン:

波の音が消えるまで 第1部: 風浪編 (新潮文庫) 

一号線を北上せよ<ヴェトナム街道編> (講談社文庫)

旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)

 

幸運な人生を歩むことになった

 

自分が進みたいと思った道にまっすぐ進めるのは幸運なことだ。自分はかなり恵まれている方だと思っている。

 

自分の力だけでやりたいことができるわけではない。

 

特に彼女の支えが大きい、彼女は2年間で3カ国に働くという会社のプログラムに合格した。これがきっかけで自分の人生は大きく動くことになった。彼女は8歳も年齢が下だが、自分が苦労して稼いだサラリーマン給料を1年目からあっさり抜いてしまった。自分にサラリーマンとして稼ぐ才能がないないことは今までの人生でもうとっくにわかっている。

 

彼女のおかげで家賃を払わずに海外の拠点に滞在することができる。日本に帰ればまだ両親ともに現役で働いていることもあり、生活費ゼロで滞在できる。また、インターネットが発達したことでネットとパソコンさえあれば個人でも稼ぎやすい時代になった。2、3年後に生活費の損益分岐点を越えれば上々だ。

 

著者が旅した時代ならこの決断はできなかっただろう。会社に依存することでしか生きれなかったと思う。

 

31歳で会社を辞めたサラリーマンの紹介

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セミリタイア生活から20日が経過

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人が人生で悩むのは進みたい道が自分でわかっているから

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