仕事を辞めて最小限の生活に入るため、固定費の見直している。以前から本当に必要なのか疑問に思っていた、"かんぽ生命"について継続するか解約するか検討する事にした。
かんぽ生命の終身保険に加入している。掛け金は毎月1万円、4年間の支払い総額は54万円、払戻額34万円だった。率にすると62%、20万円損をする事になるが、それでも解約したのは、それほど価値のない商品だったからだ。
終身保険は自分で契約したわけではない、母親がもしもの時のためにと契約してくれたものだ。そのせいも合り長年解約する事に躊躇していた。しかし、もっと早く解約するべきだったと後悔している。
62%という払戻額の低さに、投資と違って保険分が含まれているのでどうしても損をしてしまうと、申し訳なさそうに語っていたのが印象的だった。
自分が加入していた保険は次の機能があった。
・60歳未満で死亡した場合、死亡保障が500万円
・60歳以降に死亡した場合、死亡保障が100万円
・1日の入院保障が最大7500円
・解約払戻金は33〜40年で300万円
60歳を超えると死亡保証が100万円
保険は複雑でわかりにくい。その理由は医療保険、死亡保険、介護保険など複数の保険が複雑にミックスされているからだ。保険内容を一目見ただけではわからないし、行員に確認しても損をするのか徳をするのかわかりにくい。
株式投資の世界では、わかりにくい上に手数料が高い金融商品はまず投資家から敬遠される。その類の金融商品は大概売り手が儲かるように設計されているからだ。
ということもあり、保険てざっくりと損をするというイメージしかない。わかりにくいけど、ひとつずつ内容を見て行く事にした。
まずは「60歳を過ぎた場合支払われる死亡保証は100万円」。
27歳で加入した保険を満期の60歳まで払い続けたとすると、支払い総額は400万円になる。60歳より前、掛け金が少ない若い時に死亡すると500万円の死亡保証が親族に支払われるので得をする。
60歳前に死亡する可能性はどれだけあるのか、年齢ごとの死亡率を調べてみた。
各年齢の死亡率によると、60歳を前に死亡する確率は男性は8%以下、50歳より前は4%、40歳より前は2%だった。女性は男性より長生きするので、60歳前に死亡する確率は4%である。
男女とも60歳になるまでに死亡する確率は10%以下です。そして死亡率が急激に上昇するのは、男女とも70歳を超えてからということがわかると思います。ところが日本で過去に売られてきた生命保険では、60~65歳になるまでの保障が手厚い反面、それ以降は保障が手薄になる商品、設計のものが多いという現状があります。
若いうちに死亡した方が保険会社は損をするが、可能性としてはかなり低い。日本人の死亡要因の1位はガンだが、若い内に発症するケースは多くない。30代だとガンで死亡する可能性よりも自殺や事故の方が多いくらいだ。
50歳まで生きる可能性は96%、その頃にはすでに300万円の保険料を支払っている。死亡時に500万円支払われても、実質保険会社からは200万円しか支払われない。
発生する確率の割に、保険会社の負担は小さ過ぎないだろうか、死亡補償のために毎月1万円払うのは割に合わない。
残された家族のために死亡保険を掛けたいのであれば、ネットなど手数料が少ないもので掛け捨てで掛けたほうがいいだろう。少なくとも、独身男性が月に1万円も支払う必要はない。
「60歳以降に死亡した場合、死亡保障が100万円」というのは、60歳になる頃にはすでに400万円も支払っているのだから論外だ。
入院保証が最大7500円
保険会社の行員の方や家族からは「万一病気になったらどうする?」というのをよく聞く。
入院保障について詳しく確認したところ1日最大7500円と説明された。
入院保障で1日7500円と言われても、入院費用の相場がわからないので高いのか安いのか想像できない。
1日の入院費用の平均を調べてみた。
そして、ほとんどの保険会社は相談した際に「1日あたりの平均入院費用」というデータを持ち出してきます。それによると平均費用は1日15000円~20000円かかるとされています。
入院1日あたりの自己負担額の平均は約16000円とされています。しかし結論からいうとこのデータは参考になりません。なぜなら短期入院を多く含めたデータであるからです。
私たちの入院の約50%は一週間以内に退院するごく短期の入院です。そして短期入院は検査や治療が短い期間に集中するため、1日平均で計算した時の入院費用は高くなる傾向にあります。
たとえば、簡単な手術で3日間入院してトータル6万円の入院費用がかかったとします。
1日平均に換算すれば6万円÷3日=2万円ですが、トータルは6万円なので、このケースはわざわざ医療保険を必要としないレベルの負担です。高額療養費制度を利用すれば医療費の自己負担の上限は月約9万円に抑えられ、1日あたりに換算すると約3000円となります(平均的な収入の場合)
高額医療制度を利用すれば、医療費の自己負担は1日あたり3000円とある。
保険料の総額400万円支払い、仮に1日の入院費3000円を保証してもらったとしたら、1333日入院すれば元が取れることになる。
将来何が起きるか誰にもわからないので、得をするのか損をするのかは人による。自分の感覚でしかないが、最大7500円の入院保障もなくても良いのではないかと思っている。
日本の公的保険は世界でもトップレベルだ。医療費の負担は、現役世代で3割、高齢者で1割負担である。また、重大な病気に掛かったとしても高額医療制度があるので、月に支払う治療に上限がある。
サラリーマンを辞めた場合、国民保険に加入する事になるが、収入がなければ年間のコストは2万円程度だが、その場合でも日本の医療制度は受けられる。
仕事を辞めて、月に10万円の生活をしようと思っている時に、公的医療があるにも関わらず月に1万円の保険料を払いたいと思うだろうか。
1日の医療費の平均は2万円というのは、不安を煽って保険を契約したい保険会社の都合に見えてしまう。
生命保険のカラクリ
将来のことを心配して終身保険を契約してくれた母親に申し訳ないと思い、解約する前に保険について勉強することにした。
結果、本を1冊読み終える前にやっぱり保険はいらないと思うようになった。
Amazon:生命保険のカラクリ (文春新書)
本書はライフネット生命という保険会社の副社長が書いた本である。保険を売る保険屋とは思えなかった、「公的保険があるんだから民間保険が本当に必要か」 という論で話が進む。
自分が気になって線を引いたのは以下だ。
・個人保険の世帯加入率はアメリカが50%、イギリスが36%、ドイツが40%、フランスが59%なのに対して、日本は90%である
・日本の生命保険の年間市場は40兆円もある、外食産業は30兆円、国内自動車の新車の販売額は11兆円しかない
・家族1世帯が年に平均して払う保険料が45万円、20年で1000万円を超える。1000万円の買い物をする割には、保険の中身を把握している人は少ない
・国民一人あたりが加入している保険金は、ドイツが200万円、イギリスが260万円、アメリカが580万円、対して日本は1600万円
・ある株式投資の評論家は、テラ銭はパチンコで2割、競馬で2割5分、宝くじで5割超、生命保険はそれよりも悲惨なギャンブルだ。テラ銭とはギャンブルで参加者が支配者に支払うお金
・過去に加入した商品で積み立てた保険料を振り替えて新しい保険に加入させることで、一見保険料は安くなったように見えるが、実際は利回りが高い商品を解約し、低い商品への転換を勧める営業手法である
・高い予定利回りの時代に契約した加入者の利回りを、その後に契約された人たちに還元されるべき利益から払う、このようなアンバランスが依然として続いている
・2001年度から5年間の不適切な保険金不払いが、131万件、964億円に上ることが明らかにされた
・日本の保険は、医療保険なのか、生命保険なのか、貯蓄用なのかわからない。複雑すぎて損をするのか得をするのか他の金融商品と比較ができない
国民性なのかわからないが、日本人は心配しすぎだという結論に達した。
アメリカは公的保険がない自己責任の国である。救急車を呼んでもお金がなければ乗せてくれるとは限らない。それでも加入世帯は50%しかない。日本は公的保険が充実している上に自己負担は3割しかない、高額医療は申請すれば負担額に上限がある。年収200万円しかない貧乏人も、年収2000万円稼ぐお金持ちも平等に接してくれる。
20万円をドブに捨ててきた
保険を解約した日に母親に電話した。自分のお金で払っているのでとくに反対されることはないのだが、「若いうちは保険の重要性がわからない」と言われた。
将来のことを考えても加入した方がいいとは思えなかった。
4年目で解約したが、それでも20万円をドブに捨てたことになる。経過年数が増えれば損金はより大きくなる。この20万円は保険屋や営業マンの給料に変わる。
400万円納めたとしても、30年後も400万円の価値があるわけではない。保険とは長期固定金利でお金を預けているにすぎない、元本だけで損している。まだ、日本の長期国債を買った方が得をするというレベルだ。
保険は儲けるためではなく保障するためにあるが、すでに述べた通り金額に見合った保障内容とは言えない。家族のために保険に入るなら、ネットで格安で入れる保険を選択する。
お金がなければ安楽死でもいい
個人的には、重度の病気に掛かった、治療するお金がない、生きているだけで家族の資産を圧迫させるようなら自分は安楽死を選択したいと思っている。
安楽死はほとんどの国で認められていないが、これからは受け入れる国も出てくるだろう。
社会保障費が膨らみ財源を圧迫している、現役世代が高齢者を支えられなくなっている。未来がない老人が病院で寝ているだけで、若者に負担を強いる社会が健全とは思えない。そう考えたら安楽死を認めるのは社会的に必要な制度だ。
20代や30代の未来ある若者が自ら自分の命を絶つことは悲しいことだが、病気で動けない60代や70代なら本人の自由でいいと思う。自分なら生きているだけで、他人に迷惑をかけるような生き方はしたくない。
【安楽死・自殺幇助】スイスへの自殺旅行者611人に!安楽死とペントバルビタールナトリウムを考える - NAVER まとめ
【橘玲氏 特別寄稿】日本人の7割以上が安楽死に賛成しているのに、法律で認められない理由とは?|みんなの介護ニュース
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仕事を辞めるタイミングで 終身保険について見直す良い機会になった。保険だけに限らず現代社会は"なんとなく"で支払っているものが多過ぎる。自分でなぜ必要か説明できないものにまで月々1万円も支払っていた。
日本の国民性が臆病なのが原因なのか、不安ビジネスが臆病にさせているのかわからないが、老後のことを過剰に心配している。
仕事を辞めるという選択肢を取ってから、自分にとって本当に必要なものは何か考える機会を持つことができた。
いらないものは捨てて、身軽にした方が人生は楽しく過ごすことができる。結果、毎月1万円支払っていた終身保険は自分にはいらなかった。
1年中常に働いているサラリーマンの方が、病気になる可能性は高いような気がしてしまうが。
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自己紹介、2017年7月に31歳でセミリタイアした元リーマンのブログ
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