ある銀行が来店したお客さんに「豊かな人生を考える」アンケートを取ったところ、老後に必要と考える資金は3187万円だと回答したようです。
2人以上の世帯の平均貯蓄残高の中央値は1054万円しなかいため、2000万円足りないことになります。この足りない2000万円はどうやって埋めるのでしょうか?
そもそも、老後もこれだけのお金が必要なのかという疑問がわきます。貯めたお金以外にも老後は国から税金を貰い生活します。
厚生年金の平均受給額が14万4886円とあります。
(出典:厚生労働省年金局「平成26年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)
定年まで働き15万円給付され、60歳で退職、80歳まで生きたとすると、毎月27.5万円で生活することになります。
「何かあったときのために」と貯め込む人は多いですが、先のことばかり考えて、お金が足りないと考えていると自由に生きられず不幸な人生を送ってしまいます。
今の高年者世帯ですら2000万円も足りないのであれば、若い世代はさらに絶望的になります。経済が急速に縮小していく日本では、若い世代の方が老人世代よりもお金がないのは明白だからです。
60歳まで働き続けるのであれば、3000万円程度なら貯め込むのはそれほど難しくありません。年間で100万円ずつ貯め込めば30年で達成できます。夫婦共働きで協力して貯めればより楽に達成できます。
ただし、3000万円貯め込むために定年まで働き続けないといけないと考えると、精神的なストレスは小さくはありません。
実のところ生きていくためには、それほどたくさんのお金は必要ではないと思っています。
勤労所得以外でしか給料を得たことがないと、お金が減る一方で不安になりますが、一度でも自分でお金を稼げるようになると見える景色は変わってきます。
格安の娯楽が充実している
インターネットのおかげでお金を払わなくても娯楽は充実しています。サービスを受ける側からしたら、娯楽コストは限りなくゼロに近づきました。
一昔前であれば、インターネットに繋げるだけでも分単位で電話回線と同じだけの料金を取られていましたが、今では月に使い放題で3千円程度です。
ゲームのハード機とソフトを購入して遊んでいたゲームが、スマホの無料アプリで遊べるようになりました。音楽を聴くためにCDを購入する必要はありません。映画や海外ドラマを見たければ月に1000円払えば、見たい映画が見放題です。キンドルがあれば一定数の本をタダで読むことができます。
情報弱者でない限りは、時間に余裕がある、情報に鮮度を求めていない、所有しなくてもいい、と思っている人たちからしたら限界までコストを抑えることができます。
最新映画は劇場で見ようとしたら2000円掛かりますが、少し我慢すればほぼ無料で見ることができます。
ただし、サービスを知らないとその恩恵を得られることはできません。
たとえば、携帯同士であればスカイプやラインを使って電話をすればタダになりますが、キャリアに電話料金を払って電話代を支払う人がいます。
書籍でも新刊を手にしようと思うと新品を購入するしかありません。少し手間になりますが、図書館に行けば本は無料で手に入ります。無料とわかっていても利用する人が少ないのは、時間がないサラリーマンは読みたい本を探す労力を費やすくらいなら、お金を払ってでもネットで購入した方が得だからと考えているからです。図書館では無料でレンタルできる代わりに、読みたい本が必ずあるわけではありません。
また、閑散期であればバスや格安航空機で安く移動できますが、自由に休みが取れない人、時間がない人は、時間をお金で買って割高な料金を支払うことになります。
逆にいうとこうしたことを避けると、限りなく出費を最小限に抑えることができるのです。
稼ぎやすい世の中になった
今やネットに繋がってさえいれば、簡単にお金を稼げるようになりました。時間さえあればたとえ才能がなくてもそこそこのお金を稼ぐことができます。
主婦や学生、フリーターなど、一度も社会に出て働いたことがない人でさえもネットでお金を稼ぐことができます。
同じことをサラリーマンができない理由は時間がないからです。サラリーマンを続けながらでも、頑張れば1年後にも3万円くらいであれば稼げるようになりますが、それでも多くの人は挫折してしまいます。
それだけ現代のサラリーマンは、時間に余裕がないということです。
住む場所に困らない
マイホームを持たないと老後に住む場所が困ると考えている人はたくさんいます。
定年までにマイホームの借金を返済するために、できるだけ若い内に住宅ローンを組んだ方がいいと考えられています。
3000万円を利子2%で20年で返済しようとすると、返済総額は3642万円になりますが、30年で返済すると3991万円と、返済期間が延びるだけで300万円も上乗せされるからです。
しかし、たとえ若い内に住宅ローンを組んだとしても、普通に生活している普通のサラリーマンが、住宅ローンを組んで老後までに3000万円を貯めるのは不可能です。お金を借りるという事は、余計な金利まで支払う必要があるからです。
バブル崩壊後も新築で家を建てる人は増加しているため、空家率は13%と年々増加しています。空家の多い地方に行くと5件に1件が空き家となっています。
日本は少子化で人口の数が減り始めています。そんな中家が余っているため、住む場所に困るということはほぼありません。
若いうちはマイホームを持たずに資産を形成して、リタイアするタイミングで庭付きの中古物件を数百万円で購入した方が人生の選択肢は広がりそうです。
月に27万円も本当に必要?
老後に必要と考える資金は3187万円という結果にびっくりしました。
お金を稼ぐ手段は会社しかないと考えていると、あとは減る一方しかないのでたくさん貯めておこうと考えるのかもしれません。
どう考えても老後も月に27万円も使うとは考えられません。
足りないお金を考えるのではなく、どうやったらお金がなくても楽しい人生を送れるのかを考えた方がいいかもしれません。