レイ・カーツワイル
「シンギュラリティは近い、人類が生命を超越するとき」
著者レイ・カーツワイルは、未来学者として技術的特異点(シンギュラリティ)の到来をいち早く予見し、人工知能(AI)の世界的権威として現在は、Google社でAI開発の先頭に立ちます。
最近、人工知能の話題が多くなりましたが、実はこの手の話は大好きです。
わたしが一番好きな映画は「ターミネータ2」です。小さい時に衝撃を受けて、何回も繰り返し観ました。
わたしの中では、今だにこれを超える映画は、出てきていません。最近の映画はCGに頼ってばかりで、リアリティのあるアイディアとストーリーに欠けます。
ターミネータは、人工知能によって自我を持った軍事コンピュータが暴走し、自らを破壊しようとする人類に攻撃を仕掛けるというストーリーです。
レイ・カーツワイルは、2025年に軍事機は、コンピューターに制御されると予測しています。
ターミネータの世界が現実に近づいています。
最近は、人工知能の企業に投資したいなと考えています。投資するなら米国で人工知能「ワトソン」を開発するIBMです。
IBMを検討している理由は、バフェットが購入した銘柄であることと、尊敬している投資ブロガーの方が、この1銘柄に集中投資しているからです。
株式市場の暴落時に買いたいなとタイミングを見計らっています。
レイ・カーツワイルとは
1948年2月12日、ニューヨークのクイーンズにドイツからのユダヤ系移民の子として生まれる。
12歳の時にコンピュータに出会ってから統計分析のプログラミングや作曲に夢中になる。
高校生のときにコンピュータに作曲させた音楽を披露し受賞するなど、天才ぶりを遺憾なく発揮しました。
米マサチューセッツ工科大学在学中の20歳で起業して以降、数々の発明をしています。
・オムニ・フォント式OCRソフト、フラットベッド・スキャナー、
・Kurzweilブランドのシンセサイザー「K250」、
・文章音声読み上げマシン(カーツワイル朗読機)
などが挙げられ、優秀な発明に贈られる「ナショナル・メダル・オブ・テクノロジー」「レメルソン-MIT賞」などの世界最高峰の権威ある賞をいくつも受賞しています。
その功績が讃えられてアメリカ「発明家の殿堂」にも殿堂入りを果たしています。
レイ・カーツワイルの技術的特異点
IT技術や化学の進化の速さは、予想が付かないほどのスピードで成長しています。
20年前には高性能だったコンピュータを、ポケットに入れるサイズにまで進化しています。
中でも今後一段と進化が期待される分野が人口知能です。
その人工知能が人間の知能を上回ると予想されているのが2045年、「技術的特異点(シンギュラリティ)」と呼ばれる時です。
人口知能の進化
2016年に人工知能がはじめて囲碁のプロに勝ちました。
囲碁以外のほとんどのゲーム、チェスやオセロ、将棋では、すでに人間は人工知能に負けています。
チェスや将棋と違って、囲碁は選択する局面が無限にあるため、機械が勝つのは難しいと言われていました。
チェスや将棋は、9x9=81しかありません。オセロであれば、打てる局面も限られます。
この場合、コンピュータはひとつひとつ計算し、最適な手を打ちます。
対して囲碁は、一手目に361カ所、2手目で360カ所と、数が多すぎてコンピュータの処理が追いつきません。
こうした理由から、囲碁だけはあと10年は人間に勝てないと言われていました。
それが人工知能はディープラーニングという新しい手法を開発し、あっけなく勝ってしまいます。
ディープラーニングとは、コンピュータがその時々の状況によって判断を下します。相手の戦法を予測する、過去の局面を分析を行います。
いわゆる人間の直感を考慮した手法です。この手法は、顔認識など様々な分野でも使われています。
囲碁が人間に勝てるのは、コンピュータの処理速度の成長から10年と予測していただけだと思いますが、ひとつの手法が開発されると、簡単にその予測を覆してしまいます。
これは当事者であっても予測することは困難です。
人工知能の自動運転でもそうですが、技術の進化は人間の予想よりも、はるかに速いスピードで進化しています。
レイ・カーツワイルの未来予測
【2015年】
・家庭用ロボットが家を掃除している可能性がある。
【2018年】
・10TBのメモリ(人間の脳のメモリ容量に相当)が1000ドルで購入できる。
【2020年代】
・ナノテクノロジーの革命が開始される10年:この10年はまた、ロボット(強いAI)がチューリングテストを通過。教育を受けた人間と同等の知性になる。
・1000ドルのパーソナルコンピュータは人間の知性をエミュレートするために必要なハードウェア性能を持っている。
・サイズが100ナノメートル未満のコンピュータが可能になる。
・最初の実用的なナノマシンが、医療目的のために使用される。
・人間の脳全体の正確なコンピュータシミュレーション。
・血流に入ることができるナノボットは、この10年の終わりまでに(必ずしも広く使用されていないが)存在することになる。
・この10年の後半では、仮想現実(バーチャルリアリティ)は、本当の現実と区別がつかないほど高品質になる。
【2025年】
・一部の軍事無人偵察機や陸上車両は、100%コンピュータ制御される。
【2030年代】
・精神転送(マインド・アップローディング)は成功し、人間がソフトウェアベースになる。
・ナノマシンは、脳内に直接挿入することができ、脳細胞と相互作用することができる。その結果、真のバーチャルリアリティが、外部機器を必要とせずに生成することができる。
・記憶用脳ナノボット、または「経験ビーマー」として知られている人間の日常生活のリアルタイム情報脳伝送を使用して、他人の感覚を「リモート体験」できるようになる。
・人々の脳内のナノマシンは脳の認知、メモリ・感覚機能を拡張することができる。
・ナノテクノロジーは人の知性、記憶や人格の基礎を変え、人々は自分の脳内の神経接続を自由に変更できる。
【2040年代】
・人々はマトリックスのように仮想現実で時間の大半を過ごすようになる。
・「フォグレット」(人体をとりまくナノマシン群。人間の外見を自由に変化させる)が使用されている。
【2045年:シンギュラリティ】
・1000ドルのコンピューターは全ての人間を合わせたより知的である。これはローエンドのコンピュータであっても人間よりはるかに賢いことを意味する。
・技術的特異点、人工知能は地球上で最も賢く最も有能な生命体としての人間を上回るように発生する。技術開発は、自ら考え、行動し、通常の人間には何が起こっているのか理解できないほど迅速に相互通信できるマシンによって引き継がる。マシンは、AIのそれぞれの新しい世代が速く開発されると、自己改善サイクルの「暴走反応」に入る。これ以降、技術の進歩は、マシンの制御下におかれ、爆発的であるため、正確に(それゆえ「特異点」という)予測することはできない。
・特異点は永遠に人類の歴史の進路を変更する非常に破壊的、世界的な変化を起こすイベントとなる。暴力的なマシンによって人類が絶滅させられる可能性は(ありえなくはないが)、人間と機械の間の明確な区別はもはやサイボーグ化で強化された人間とコンピューターにアップロードされた人間の存在のおかげで存在せず、ほとんどありえない。
【ポスト2045: 宇宙の「覚醒」】
・AIは"最大速度"(光速に限りなく近いかもしくは超光速)で全宇宙に進出する。その速度はAIが光速の限界を回避する技術を発見できるかどうかによる。
2015年と18年の予測はすでに実現しています。
2020年代あたりは、想像に難しくないですが、2030年代からは、かなり奇想天外になってきます。
ナノマシンが脳内に直接挿入でき、脳細胞と相互作用できるとあります。
2040年代になると、マトリックスのように仮想現実の世界で大半を過ごします。
そして2045年に、コンピュータが人間の知能を完全に超えます。
技術開発は、自ら考え、行動し、通常の人間には何が起こっているのか理解できないほど迅速に相互通信できるマシンによって引き継がれます。
30年後にどうなっているかなんて誰にもわからないので、ないとは思いつつも完全にないとは言えません。
こういう未来のことを想像しながら、AIを開発する企業に投資をするのも、単純に楽しそうだなと思いました。
こういう分野が好きな人に、レイ・カーツワイルの著書はおススメです。