パソコンができない人からみたら、ソフトウェアを開発するプログラマーの仕事をしていると聞くと、給料が高いと思われそうですが、実際にはそんなことはありません。
最近は人手不足で以前よりはマシになってきた印象はありますが、正直プログラマーの給料は安いです。
最近になってようやくサラリーマンの平均年収を超えました。
現在は賞与など含めて年収440万円程度です。
日本に帰ってきてから、最初の年は330万円だったし、つい2年前は370万円だけです。
物価の安い地方に住んでいるので割といい金額です、ほとんど定時で帰っているし、それほど不満はありません。
車がないと不便なところに住んでいますが、車を持っていないため、それなりに手元にお金が残ります。
来年は東京に移り非課税の手当がつくので、480〜500万円程度に落ち着きそうです。
プログラマーの仕事はなくなる?
プログラマーの給料は本当に安いです。
理由は単純で、ソフトウェアの開発というのはそれほど難しくありません。インドやベトナム、最近ではミャンマーなど安い労働力によって置き換わるからです。
クリエイティブな世界を創造するかもしれませんが、それはグーグルやファイスブック、日本でいうとゲーム業界など一部の限られた企業の世界です。
彼らとは職種が違います。IT業界というと下請け企業と、グーグルのような企業を一緒に考える人がいますが、区別するべきです。
日本の場合ソフトウェアを作る企業の大半は、ハードウェアを作る大手企業の下請けにしかすぎません。
プログラマーの仕事は彼らにとって稼げる仕事なので、ある程度裕福で良い大学を出た優秀な学生が集まります。日本では、3Kと言われるほど人気のない職業で、専門知識がなくてもソフトを開発する企業に入社すれば、誰でもプログラマーになれます。
彼らと競争することが求められる日本のプログラマーには給料に重い重力がかかります。
プログラマーになって重い重力に打ち勝つよりも、よほどプログラムの世界が好きでない限りは他の職種を選んだ方がいいです。
個人的には人工知能の開発によって、プログラマーの仕事も先進国からなくなるのではないかと予想しています。
プログラマーの平均年収は408万円
年収ラボをみると、プログラマーの平均年収は408万円、平均年齢は32歳とあります。
職種による年収の違いは以下の書籍でわかりやすくまとめられています。
平均年齢が32歳と若いのは、年齢を重ねるとプログラマーだけで飯を食べていくのは不可能になります、多くのプログラマーは、システムエンジニアになるか他の職種に移ります。
運良くステップアップがあって、システムエンジニアになれればいいですが、席は限られているのでそれほど簡単ではありません。
32歳で408万円というとわたしの感覚でもそれくらいです。
新卒で入社した会社ですが、あまりにも給料が安すぎて2年経つ前に辞めました。
給料が安い以前にステップアップできない仕組みに脱帽しました。この会社で働いていたら、給料は今頃350万円すらいかないレベルです。
地方で実家暮らしなら350万円でも暮らしていけますが、東京で350万円というと間違いなく貧困層です。
東京のプログラマーは給料があがらない構造にいます。
理由は日本のIT企業は、典型的な労働集約型です。ひとつのプロジェクトが始まると、多重派遣や委託で複数の会社から大量にプログラマーを集めます。
IT業界はよく建築業界の仕組みに似ていると言われますが、そのとおりです。プログラマーは土方の仕事をパソコンでしているようなものです。
仕事を発注するメーカー、それを受ける大手SI企業、SI企業から仕事を受ける1000人規模の企業、そこから仕事を受ける100人規模の中小企業と零細企業で成り立っています。
上にいくほど給料は高くなり、下にいくほど給料は安くなります。この待遇の違いは目に見えるほどはっきりとわかります。
不景気がくると下から順に仕事を失います。
2009年のように円高が進むと、大手SI企業は海外に開発拠点をつくります。東京の末端プログラマーの年収は、330万円程度ですがそれすら高いと判断しています。
東京で30歳、年収312万円のプログラマー
最初の企業はこの末端に属する企業だったため、将来の展望が全く持てませんでした。
その時の月の給料は23万円ほどでした、東京勤務でしたが会社が3LDKのアパートを借りてくれるので、光熱費、家賃、ネットの負担が少なかったので、それなりには困りませんでした。
ただ、30歳半ばくらいの独身社員もこのアパートに住んでいたし、それなりに給料を貰っている人は残業漬けでした。
逆にいうと残業代なしで社宅がなければ東京で暮らしていける金額ではありません。
1年間の昇給額はたったの3000円、2009年のリーマンショックで賞与と残業代がなくなりました。今でもボーナスは出ていません。将来の給料も簡単に予測できます、この会社で働いて30歳になると計算すると、年収はたった312万円です。
たったこれだけの給料のために、遅くまで働いているプログラマーは東京にたくさんいます。
人工知能によってプログラマーの仕事はなくなる
この企業が特別安いというわけではなく、プログラマーの給料は上がりにくい仕組みにあります。2社目に入った企業も似たようなものでした。
今の会社がこれらと違うのは、地方の物価が安いところでメーカーから一次で仕事を請けているからです。海外に開発拠点を持ち、単価の安い仕事はすべて外国人にやらせています。
設計からテスト工程まですべて自社で行うので、技術力もそれなりに高まります。
そのおかげで自分の給料もあがったので、実力ではなく単にラッキーなだけです。
これから先もこの仕事で将来も生計を立てていこうとは思っていません。下請け企業はリスクが高いです、メーカーから仕事を貰えなければ、とたんに仕事がなくなります。
外国人によって日本のプログラマーの給料は下がりましたが、今度は人工知能によってさらに下がると思っています。
20年後にはロボットができる仕事を並べるより、ロボットができない仕事をあげる方が難しくなっているかもしれません。
IT業界は割に合わない仕事
IT業界で働きたい人は、入念に業界をチェックした方がいいです。
仕組み自体が悪いと、本人の努力では勝てない部分がどうしてもあります。
自分の子供がIT業界で仕事をしたいと言ったら、ITの下請け企業は絶対に進めません。大手SIに行きたいと言ったら、下請け企業の管理だけで開発の仕事が一切できないことを伝えます。
いくら売上が高くても、利益率の低い業界の企業に投資しても、株価があがらないのと一緒です。
今の若い人が給料が安く、労働時間も長いIT業界に入りたいとは思いませんが。他に稼げる業界はたくさんあります。
お金がすべてではありませんが、給料は大事です。
大量の高齢者を抱える日本経済は、これからも不況が続きます。
人生で失敗しないために、どちらにしても複数の収入源を持つ必要があります。
好きなことを仕事にするにしても、1日の大半を仕事で失ったらあとは何もできなくなります。