11月9日、九州電力玄海原発の3、4号機が、原子力規制員会の安全審査に合格しました。
これで審査に合格したのは、5原発10基目です。順調ではないけど、着々と原発の再稼動が進んでいます。
原発が再稼動しても、最近ではあまりニュースに取り上げられなくなりました。多くの人からはもう興味を失った話題になったのかもしれません。
この1ヶ月で九州電力の株価は900円から1070円へと大きく回復しています。
<玄海原発>3・4号機「適合」 再稼働へ新基準10基目
九州電力は年間1440億円の収益改善
合格済、稼働中の10基
関西電力
高浜1~4
美浜3
四国電力
伊方3
九州電力
川内1、2
玄海3、4
玄海原発3、4号機は出力が各118万キロワットと川内原発1、2号機の各89万キロワットよりも高出力です。九州電力は今回の再稼動を受けて、事故前に近い水準まで回復したことになります。
玄海1号基は廃炉が決定しているため、残る原発は2号基だけです。
これで九州電力は大幅に収益を改善することができます。原発の再稼動を前提にしているため、平成25年にも値上げに追い込まれましたが、これからはその必要がなくなります。
九州電力社長によると、大型原発(玄海)の2基が動ければ、月120億円程度の収支改善効果があると述べています。この言葉をそのまま受け取れば、年に1440億円の収支効果があります。
九州電力の川内1号機は昨年8月から、すでに再稼動しています。その効果はすでに決算でも出始めています。来年度はさらに大きく黒字を伸ばしてくる可能性があります。
売上高、営業利益、経常利益、当期利益
14年、1兆7911億円、-958億円、-1314億円、-960億円
15年、1兆8734億円、-433億円、-736億円、-1146億円
16年、1兆8356億円、1202億円、909億円、734億円
原発再稼動は織り込み済み
多くの申請中の原発が、再稼動をするのはもはや周知の事実です。
審査の長期化は、電気料金の値上げという形で、家庭や企業経営に悪影響を与えます。家庭の電気料金が2割上がっても月に数千円の出費ですが、大規模な工場の場合数100万円の出費になります。
この分のコスト上昇は、人件費削減か値上げによって賄われます。インフラを支える電気の料金が上がると、経済に悪影響を及ぼします。
今はアメリカのシェールオイルブームのおかげで、2015年に世界の原油価格が大きく値下がりました。そのおかげで電気料金も2割程度の増加で済んでいます。
震災以降の電気料金上昇率は、一番高い北海道電力で25%、次に関西電力で19%です。原発が再稼動しないということは、これからもこのコストを払い続けることになります。
火力に頼った発電は、原油価格と為替相場に大きく依存するため、原油価格上昇と円安で上昇していきます。
発電コストは反対派が負担するべき
消費税率を1%あげると約2兆円の国民負担になるといわれています。経済産業省が発表した原発停止による火力発電の燃料費の増加分は、平成25年で3兆8千億円です。震災後、燃料費の上積みとして海外に流出した国富は3年間で9兆円を超える見通し。
原発再稼動に反対する人は、高騰した電気料金を、他の人よりも高く支払うべきです。原発容認派まで値上がりしたコストを払うのは理不尽です。
原発容認派分の2倍の電気料金を払った上で、再稼動に反対してほしいです。特にたちが悪いのは、精神論だけで反対している人たち。
経済活動に与える影響を一切無視して、危ないから止めてほしいという。止めたところで、危険性は一切変わらないですが。
その原発反対派のおかげで、電力株に投資している逆張り投資家は、儲けるチャンスがあるというのも事実ですが。