セミリタイアしたサラリーマン投資家
2017年夏にセミリタイアし、海外と日本のデュアルライフを目指します

「英語公用語」は何が問題か

 

まず本書の冒頭に

「英語は出来るけど仕事はできない人と、仕事は出来るけど英語はできない人とどっちがいい仕事につけると思う?」

 

するとサラリーマンは学生に対して

「英語だよ。これからは仕事なんて出来なくたって英語ができればそっちの方が得なんだよ。」

 

というくだりから始まります。

 

低収入の人ほど英語が出来た方がいいと回答しそうです。ビジネスという視点で考えれば優秀な人ほど英語なんて通訳(アウトソース)を使えばいいと考えます。

 

もちろん仕事が出来て英語が出来ればいいにこしたことはありません。しかし英語を仕事ができるレベルまで上げるのにもそれなりの労力が必要です。

 

本業のビジネスに注ぐ力と英語を学ぶ労力で天秤にかけた場合に、どちらを優先するかという話です。

 

学生の時から英語を勉強してある程度話せるなら別ですが、社会人になってから転職のために英語を勉強しようというのとでは天と地ほど差があります。

 

本書が書かれたのは、2010年ころです。ユニクロや楽天の社内公用語化が話題になったときでした。

 

海外で売上を持つユニクロや、日産のカルロスゴーンのようにトップが外国人になったというならまだ理解はできますが、国内の売り上げしかない楽天が公用語化は宣言したのは、浅はかでさすがにびっくりしました。

 

著者は大学教授であり、NHKの英語番組関わっているほど英語に長年携わってきた方です。アポロ11号の月面着陸や大阪万博など同時通訳者として数々の国際舞台で活躍していました。

 

そういう方が日本企業の安易な公用語化に批判しています。

 

聞き流すだけで英語がペラペラになる教材とか、英会話学校の留学パッケージを売るエージェントが儲かっています。

 

英語の方が重要だと安易に発信する人はビジネスの場にたったことがないのかなと疑問に思います。ネイティブ同士ならお互い母語を使ったほうが、確実にコミュニケーションが円滑に行えます。

 

ムダな事をしても行き詰まるだけです。実際に楽天は早くも行き詰っています。

 

著者の日本語という言葉が使えるのだから不得手な英語に時間を浪費せず、アイデアを出し研究開発に力を集中した方が良いという意見は納得です。

 

また、楽天やユニクロが求める「TOEIC730点レベル」では、「商売相手と英語で丁々発止わたりあうなどということは絵に描いたモチにすぎない」と言います。

 

そもそもTOEIC試験そのものを「英語で表現する力があるかどうかまでは測定しない」「反応の早い英語達人だけが生き残る」テストだと批判しています。

 

その上で著者は、TOEIC730点前後が特定の関心事や専門分野に関係した基本的な情報のやり取りができ、職場でなんとか使えるレベルの目安であって、一般ビジネスパーソンが目指せるのはこのレベルとし、あとは通訳を頼む方が早いと断言します。

 

これもその通りです。優秀な経営者ほど時間の割に儲けが少ない事業は社外にアウトソースします。

 

非ネイティブ同士がつたない英語を使っても、時間のムダでしかありません。お仕事ごっこにしか見えません。

 

擁護派の意見は

 

「多国籍化した企業は多様な母語集団を抱えることになるため、企業集団としての一体性を保持するため文書や話後を統一した方がいい」

 

「外国人がいちから日本語を学ぶのは困難です」

 

「日本語が公用語のままでは海外からの一流人材が集まらない」

 

などがあります。

 

こういう意見を聞くと歴史やビジネスをしらないのかなと思ってしまいます。言葉というのはただのコミュニケーションのツールにしか過ぎないという発想がないのでしょうか。

 

著書はけっして「英語なんかいらない」と言っているわけではありません。

 

英語を勉強する目的をしっかり持とうという話です。仕事で必要だから英語を勉強するのか、英語を勉強するための仕事なのか、ということです。

 

後者であればただの自己満足です。

 

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