セミリタイアしたサラリーマン投資家
2017年7月に資産500万円でセミリタイアして、海外と日本のデュアルライフを目指します。
現在ネット収入は5000円。働かなくても良い、新しい生活スタイルを実現したい。

鴻海による経営再建中のシャープの株価と決算 平均年収728万円

 

2016年8月に台湾の鴻海精密工業の子会社に買収され、鴻海を中心にシャープの再建が始まりました。

 

シャープは17年3月は400億程度の営業黒字を計画しているという報道が流れ、大幅に株価が上昇しました。

 

事実上資金繰りに陥り債務超過寸前まで落ちましたが、鴻海がお金を出す事によって資金繰りの問題はひとまず回避されました。

 

現在の経営が下手や役員が退き、鴻海から新たな役員を入れれば再建はそう難しくないようにみえます。社員の平均年収をみても明らかですが、あまりにも高すぎます。大幅に赤字を計上しているにも係わらず、14年から15年で平均年収が128万円も増加しています。

 

30歳でも540万円の年収です。これだけ見てもわかるように、ムダなところにお金が流れているのは一目瞭然です。優秀な経営者と役員を迎えて、古い体質の役員が退けば黒字を達成するのはそう難しくはありません。

 

 

シャープの株価と決算

 

Yahooファイナンス - シャープ

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売上高、営業利益、経常利益、当期利益
14年、29271億円、+1085億円、+0532億円、+1155億円
15年、27862億円、-0480億円、-0965億円、-2223億円
16年、24615億円、-1619億円、-1924億円、-2559億円

 

2007年のリーマンショック前に2300円の株価でしたが、リーマンショック後の2009年に800円、2011年に1100円付近まで回復しますが、その後は減少の一途を辿っています。現在は140円前後で推移しています。

 

東芝や日立など、他の家電会社はリーマンショック後はそれなりに回復していますが、唯一シャープだけが経営に苦しんでいます。リーマンショック前の15分の1以下です。

 

シャープのEPS(一株当たり利益)は8円、-131円、-154円と大幅に低下しています。自己資本比率は、9%、1%、評価不可と資本より債務が上回っています。

 

今回、鴻海の資本が注入されることで経営を続ける事ができますが、これがなければ債務不履行で下手すると倒産です。

 

シャープだけが不振を続ける理由

 

シャープの経営が不振を続けている理由は単純です。主力の液晶パネルが不振で大幅な赤字を垂れ流しているからです。他のテレビ事業を持つ電機会社、ソニー、東芝、日立製作所は早々にテレビ事業に見切りを付け、政府(産業革新機構)が主導するJDI(株式会社ジャパンディスプレイ)に事業を統合しています。

 

シャープはあえて産業革新機構の配下に入ることを拒否しました。これは正しい判断です。政府が税金を使って電気事業を救済するのは反対です。競争が激しい世界に税金を投入された企業はより余計競争力をなくすからです。

 

弱いモノ同志が集まって税金を使って救済されたことで、シャープの液晶はより不振に苦しんでいます。シャープの経営が危機的状況にあるのは、政府の責任でもあります。社会の競争を歪めるという意味でも、政府は本来何もするべきではありません。

 

半導体事業に税金を投資したところで、台湾や韓国企業に勝算がないのと一緒です。寿命を延ばし税金を投入する期間が伸びることはあっても、自分の足で歩けるようには一生なりません。早めに潰れてくれた方が、国民にとっては有益です。

 

2015年の経営危機で、シャープがJDI傘下に入らず、鴻海を選んだのは経済的に正しい判断です。

 

シャープ復権のカギを握るのは有機EL事業

 

鴻海の資金が投入されることで、とりあえずシャープに資金繰りという問題がなくなりました。資金繰りを心配せずに当面は経営を続けることができます。

 

赤字経営さえ脱することができれば、なんとかなるというのがシャープ役員の胸中です。

 

シャープと鴻海の合意内容

・買収の契約時に鴻海は保証金1000億円を支払い(3/31予定)
・出資額3888億円(当初は4890億円)
・出資比率66%(株価88円で引受け)
・有機ELパネルに2000億円の投資
・鴻海はシャープの取締役9人のうち6人以下または総数の2/3以下を指名
・インバンクは新たに3000億円の融資枠を設定

 

アップルが今後のiPhone搭載に有機ELを搭載することを宣言しています。アップルを大口取引として持つ鴻海にとっては有機ELの取り組みは最重要課題です。これが鴻海がシャープを買収した一番の理由だと考えられます。

 

すでに韓国のLGグループは有機ELに1兆円投資し、断トツで優位な状況にあります。


鴻海の後ろ盾てで有機EL事業を主力にシャープが経営再建できると楽観的には考えていません。

 

鴻海がシャープの買収を決定した時点で、シャープの株を買うようになりましが、それは以下の理由からです。

 

・リーマンショック前より株価が17分の1以上低下している
・鴻海の経営陣が入ることで大きな変化が訪れる
・外部から来る役員が社員のリストラや不採算部門の切り離しを行う
・資本が注入されるため当面資金繰りの問題がなくなる

 

シャープが他の電気事業を圧倒し快進撃をするとは思っていません。そうなってくれたら有難いですが、そんな勝算が低いことに期待して、自分の大切なお金を投資することはありません。

 

単純に今の株価は倒産危機が過度に噂され安値を付けています。すでに下限が見えているのに対し、上限が見えない青天井だからです。

 

悲観的に考えたとすると、シャープはリストラなどの経営改革を行い黒字を達成する。赤字を脱することができたが、大幅に黒字を上げるまで回復することができない。しかし、黒字だったときの2013年の株価は400円ありました。赤字を脱するだけでも今の株価の2.5倍程度です。

 

楽観的に考えると有機EL事業で成功しアップルからの受注を得る、不振だったテレビ事業が復活し、リーマン前の水準まで回復する。可能性は低いですが、その場合2000円前後まで回復する可能性は否定できません。

 

超悲観的に考えると、鴻海の役員がリストラなど経営改革を行ってもシャープの赤字が止まらない。見切りを付けた鴻海は、シャープ事業から撤退する。銀行からも融資を得られず倒産する。

 

このシナリオは可能性としてかなり低いです。2兆円以上売上げをあげているシャープは、人件費カットや不採算部門を切り離せば、よほどのことがない限り黒字になります。それを外から来た実行力を持つ役員(鴻海)が行うのであれば効果大です。

 

以上を考えるとある程度余裕を持ってシャープの株価をみることができます。倒産する可能性がなくなり、事業を継続することができるまで回復すればそれだけで十分です。ハードルは決して高くはありません。