セミリタイアしたサラリーマン投資家
2017年夏にセミリタイアし、海外と日本のデュアルライフを目指します

儲かりすぎた東京電力の株価と決算 平均年収709万円

 

17日の東京電力の株価は8%まで急落しました。理由は新潟知事選で東電柏崎刈羽原発の再稼動に慎重な姿勢をとる米山隆一氏が当選したからです。

 

原発の短期的な動きでこれだけ値が動いたのは驚きですが、これは原発再稼動をネタにした短期トレーダーがまだまだ大量にいることを表しています。

 

長期的な視点でみれば、原発の再稼動は必ず実現します。もし新潟の原発が再稼動しなければ、化石燃料に頼り電気料金は下げられず、安全審査のために使用した設備投資などの莫大な費用は電力利用者がすべて負担することになります。

 

また、原発が立地する新潟も交付金がもらえず、東京電力の作業員が撤退すれば、経済効果も得られなくなってしまい、結局だれも得しません。

 

このシナリオは現実的に相当低いです。

 

東日本大震災の影響で、一時的にはゴミ株同然の株価にまで落ち込みましたが、その後は大きく回復を続けています。

 

短期的な視点でみれば値動きが激しい銘柄のひとつですが、長期的視点でみれば東京電力の株は魅力的な投資銘柄です。

 

最近では経営改革が順調に進み過ぎたため、東京電力は儲けすぎています。そのため社員の平均年収を上げたり、原子力損賠賠償機構に多めに返還したりと決算を微妙に調整しています。

 

 

東京電力ホールディングスの平均年収709万円

 

東京電力の平均年収は709万円です。事故発生前の2011年は761万円、発生後の2013年は619万円まで低下しましたが、最近では元の水準に近づいています。再来年辺りには、事故前の水準まで回復することが予想できます。

 

実は事故前も東京電力の年収は他の地方電力会社と比較して、それほど高くはありません。むしろ都道府県の物価差で比較すると安いくらいです。

 

東京都内の企業でみると東京電力の平均年収の順位は455位です。地方電力会社が10位以内にランクインしている事を比べても、決して高い年収ではありません。

 

東京都と地方で物価差があるにも係わらず、事故以前から地方電力会社の給料は東京電力よりもはるかに高給です。

 

電力会社、事故後年収、事故前年収、都道府県平均年収
北海電力、656万円、833万円、410万円
九州電力、590万円、833万円、590万円
東京電力、709万円、761万円、623万円

 

東京都は他の都道府県と比較して、平均年収が623万円と圧倒的に高い県です。電力会社は社会経済のインフラを支える仕事をしていると考えたら、東京電力の年収は低すぎるくらいです。

 

北海道電力と九州電力では年収は同じくらい貰っていますが、福岡県の方が北海道よりも平均年収は高いです。北海道電力社員は県の平均年収の倍もらっているため、かなり裕福な生活をしていることになります。北海道の833万円の年収は東京に換算したら、軽く1000万円を超える金額です。

 

東京電力の売上げ規模は6兆円、九州電力は1兆5000億円、北海道電力は5000億円規模です。これは電力事業が事業規模に関係なく、平均年収は地域独占型企業の強みを発揮しているかどうかに影響を受けているからです。

 

競合相手が多い東京電力よりも地方電力の方が独占企業の強みを発揮しているし、九州電力よりも北海道電力の方が強みを発揮しています。

 

家庭向けの電力の自由化は2016年ですが、大口顧客向けの自由化は2000年から開始しています。北海道電力は閉じられた地域のため、電力会社の中でも地域独占が強く発揮されます。北海道電力の競争相手は、東北電力と北海道ガスくらいです。

 

すでに現在の電力で需要が満たされている地域に、あらたに新規事業が参入してくる可能性は極めて低いです。

 

つまり電力自由化で既存の電力会社同士が他エリアに攻め込んだ場合、一番恩恵を受けるのは東京電力という可能性が実は大きいです。

 

事故を起こしていない他の電力会社が、何もいわずに原子力損賠賠償機構に一般負担金として収納しているのは、このあたりの理由が大きいのではないかと思っています。

 

廃炉費用や損害賠償金を一般負担金として、全電力会社が負担するということは、お互いが不可侵条約を結んでいる事と同義です。

 

東京電力ホールディングスの株価

 

Yahooファイナンス-東京電力

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売上高、営業利益、経常利益、当期利益
14年、6兆0699億円、1913億円、1014億円、4386億円
15年、6兆8024億円、3165億円、2080億円、4515億円
16年、6兆6314億円、3722億円、3259億円、1407億円

 

東京電力ホールディングスの株価は、リーマンショック前の2007年に4000円、2011年の震災前に2000円、震災後の最安値は128円、2015年は一時890円まで急騰しましたが、現在は400円前後で推移しています。

 

長期的な視点でみると、順調に回復していると言えます。東京電力の決算だけみると、事故前の水準まで回復しています。

 

儲かりすぎた東京電力ホールディングスの決算

 

東京電力の決算書をよく見ると、儲かりすぎている結果がわかります。2016年の純利益は前年度より3000億円の減益ですが、営業利益、経常利益は大幅増です。

 

これは原子力損賠賠償機構に返金した金額が大きいからです。2015年の東電の決算書をみると、特別損失と特別利益を差し引いた純利益は大幅増です。

 

特別利益は機構から受け取った金額、特別損失は支払った金額です。これを差し引くと東電の本当の純利益が見えてきます。

 

年代、特別利益、特別損失、換算後の純利益
15年、8877億円、6162億円、1800億円
16年、7730億円、9119億円、2800億円

 

2015年は原子力損賠賠償機構から受けとった金額が大きく、それを差し引くと1800億円の純利益、2016年の場合は損賠賠償を払った後でも2800億円稼いでいることがわかります。

 

それに合わせて、自己資本比率も10.5%、14.6%、16.1%と大幅に改善しています。

 

EPS(一株当たりの利益)は、273円、281円、87円、これは返還した金額が大きく純利益を押し下げたからです。それがなければ今期も大幅に改善しています。

 

東京電力の予想PERは5倍と、他電力会社(9倍前後)と比較して明らかに低いです。利益の割に株価が極端に安いことを表しています。

 

東京電力ホールディングスはリスクの低い投資銘柄

 

北海道電力や九州電力のような地方電力会社と比較して、実際に原発事故を起こした東京電力は多くの課題を抱えています。他電力会社と比較して、得られるリターンが大きい分、リスクは高い銘柄です。

 

事故処理や廃炉にかかる費用、被災者への損害賠償費など、今後も東電には莫大なコストがのしかかり続けます。

 

では、東京電力株を空売りすれば儲かるのかと考える程、単純な問題ではありません。空売りしても、背負うリスクに見合うリターンを得られるかは非常に怪しいです。むしろ東電の現在の状況を見ると、買いを入れた方が利益は得られそうです。

 

リスクはある程度見積もれるようになり下限が見え始めていますが、逆に電力自由化や再稼動、経営改革などプラス要因の方が青天井になっています。

 

大幅に利益を改善し始めていますが、それでもPERは5倍程度しかありません。

 

東電は事故を発生した当事者ということもあり、積極的に経営改革を行ってきました。トヨタから現場の生産管理を指揮する監督を採用したり、大幅なコストカットに取り組んできました。

 

地域独占企業として甘い汁を吸っていた東京電力にとって、効率的な生産管理を生み出してきたトヨタからみれば、改善策は腐るほどあります。

 

その結果、原発を再稼動する前に大幅に利益を改善し、儲けすぎてしまいました。原発の再稼動を目指すためには、少し多めに損害賠償機構に返還したり社員の年収を上げることで決算の数値を調整し、国民の批判を避ける必要があります。

 

東電の損害賠償費用は7兆円規模と言われていますが、仮に原発を再稼動して年間5000億円の純利益を達成した場合、返済不能と言われていた賠償金もわずか14年で返済することができます。

 

損害賠償費用は18年を目途に打ち切られるため、これ以上膨れ上がることはありません。また、廃炉費用と賠償費用は原則的にはすべての電力会社で負担することになっています。東電が損賠賠償機構に支払う金額は、あくまで任意と定められています。

 

現在も政府が東電の大株主になっていますが、今後は政府の影響力を薄めるために徐々に政府から株を買い戻す形になります。

 

現時点では抱えている負債が大きいのは東電株にとってリスクですが、東電が安定して生み出す利益を考えると、長期的な視点で見た場合、リスクはそれほど大きくはありません。

 

配当金が復配するのは10年以上掛かるかもしれませんが、それほどリスクの高い投資になるとは思えません。

 

PERが5倍、純利益の増加、原発再稼動を考えると、東電株はまだまだ買い時です。新潟知事の選挙結果で株価が下がるのであれば、これは有難い買い場です。