セミリタイアしたサラリーマン投資家
2017年7月に資産500万円でセミリタイアして、海外と日本のデュアルライフを目指します。
現在ネット収入は5000円。働かなくても良い、新しい生活スタイルを実現したい。

経営破綻寸前のドイツ銀行がリスクの高い取引をしている理由

 

ドイツ銀行をはじめとする欧州銀行が過度にリスクの高い取引をしていることが話題になっています。

 

ドイツ銀行はリスクの高いデリバティブ商品を大量に抱えていますが、その合計は自国GDPの20倍近い金額にまで達しています。デリバティブ商品はリーマンショックの引き金になった危険な取引です。

 

ドイツ銀行が抱えるリスクの高い商品は、破綻したリーマンブラザーズを超える金額まで膨れ上がっています。


本来リスクが低く安定した企業であるはずの銀行が、どうしてこのようなリスクの高い取引をするようになったのでしょうか。

 

 

ドイツでは家庭用金庫の売上げ増

 

ドイツ銀行の破綻は現実的なレベルになってきました。

 

リスクの高い金融商品である世界のデリバティブ残高は、2015年で550兆ドルと言われています。そしてその中でドイツ銀行は、デリバティブのうちなんと10%を保有しています。

 

これはドイツ銀行の財務上に54兆ドル(5400兆円)のリスクの高いデリバティブが記載されているという意味になります。

 

最近ドイツでは、家庭用金庫の売り上げが増えたというニュースが発表されています。家庭用金庫の売上げが昨年同期に比べて25%増加しました。

 

ドイツ市民は銀行にお金を預けるよりも自分で管理することを望んでいます。いつ潰れるかわからないドイツ銀行にお金を預けることを懸念しています。

 

10万ユーロ以上の貯金者を対象にマイナス金利を適用する銀行まで現れています。ヨーロッパ諸国は日本以上にデフレ経済に苦しむことになるかもしれません。

 

ハーバービジネス

高まるドイツ銀行破綻の懸念。ドイツでは家庭用金庫が売り上げ増 | ハーバービジネスオンライン

 

証券会社と従来の銀行の違い

 

近年の銀行は度重なる規制緩和の影響を受けて、証券会社やヘッジファンドと同じようにリスクの高い取引をしています。証券会社やヘッジファンドは最近では投資銀行と呼ばれています。

 

本来の銀行の業務とは不特定多数の市民からお金を預かり、企業や個人に貸し出してその金利差を稼ぐのが本来の業務です。銀行と証券会社との違いは、自由にお金を刷れる中央銀行からお金を借りられるかどうかです。証券会社は中央銀行からお金を借りることができません。

 

銀行が倒産しそうになると企業から資金を引き上げようとするため市場がパニックになります。そのため銀行は厚い自己資本を課されるなど厳しい規制がたくさんあります。リーマンショックでもそうだったように、銀行はたいがい政府から救済されます。

 

対して証券会社は市民からお金を集めているわけではないので、倒産しても影響は少なく政府が救済する必要はありません。そのため自由度が高く本来の銀行と違ってリスクの高い取引を行うことができます。

 

欧州銀行は規制がゆるい

 

しかしヨーロッパでは中央銀行からお金を借りられる銀行が証券会社で行うような取引きも並行して行えるようになっています。市民からお金を低い金利で集めて、リスクの高い取引ができる欧州銀行は日本やアメリカの銀行に比べて優位です。

 

アメリカは証券会社が行う業務と銀行は別々の会社に分離しないといけない法律がありましたが、欧州銀行と競争するため規制緩和で銀行と証券会社の境界線がなくなりました。

 

日本でも金融ビックバンといわているように1996年から2001年にかけて、銀行などの金融機関の黄瀬緩和が進みました。2002年以降は銀行業・保険業・証券の各代理業解禁など行われています。

 

証券会社は銀行と同じような業務をやるようになり、銀行もまた証券会社が行うような業務を行うようになりました。

 

リーマン・ブラザーズは証券会社

 

リーマン・ブラザーズの破綻で2008年のリーマンショックの引き金になりましたが、そのリーマン・ブラザーズは証券会社です。しかしこの証券会社は企業や他の金融機関からお金を貸すような仕事が増え、本来救済する必要がない、証券会社まで政府は救済する必要性にかられるようになります。

 

外資系の証券会社、ここでいう投資銀行は集めたお金で巨大なレバレッジをかけて世界の金融市場で大儲けをしています。これが2008年に多くの問題を生みました。

 

そして今ではドイツ銀行のように、本来過度なリスクを取るはずではない堅実な銀行までが巨大なレバレッジをかけて取引をしています。従来の銀行の方が信用も高く低金利で人々からたくさんお金を借りることができるため、一度リスクの高い取引をはじめたら目先の利益のためにどんどんレバレッジをかけていきます。

 

その結果、ドイツ銀行は自国GDPの20倍近い金額までデリバティブ商品を膨らませてしまいました。リスクに耐性がない優等生ほど悪いことをしたらハマってしまうような感覚でしょうか。

 

ヨーロッパ内でドイツは、イタリアやギリシャのような国々と比べて勤勉だといわれていますが、この結果を見る限りどこが勤勉なのでしょうか。

 

自国の主要銀行がこれほどリスクの高い取引をしているのに、なにも対応できなかったドイツ政府にも驚きます。

 

現在の銀行の業務は、ヘッジファンドや証券会社とそう変わりありません。