再生エネルギー固定価格買取制度とは
2009年9月に民主党政権が政権を取り、愚策な制度を成立させました。電力会社による再生可能エネルギー買取制度もそのひとつです。
この制度は、名前のとおり再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める固定価格で電気事業者に調達を義務付けるものです。
東日本大震災の翌年、2012年7月にスタートしました。電気事業者に買い取らせるということは、このお金を負担するのは、電気を利用している一般市民です。
経済を勉強している人はわかりますが、商売の基本は経済の原理にまかせた変動価格です。権力をもった政府による固定価格は、市場を歪め間違った方向にものごとを向かわせます。
政府はこの制度を以下のように説明しています。
「この制度により日本の太陽光発電の導入量を拡大することで、エネルギー海外依存が高い我が国のエネルギー自給率の向上や、地球温暖化対策、さらに我が国のものづくり技術を活かした環境関連産業の成長に大きく貢献できるものと期待しています。」
本来であれば再生エネルギーは発電コストが高く採算がとれませんが、固定価格で電力会社が買い取ってくれるため、参入者が過剰に増え様々な問題が発生します。
そして、参入者が増えれば増えるほど、国民の一人当たりの負担金は増加します。
再生可能エネルギー買い取り中止
2014年に九州電力が再生可能エネルギーの買い取りを中止しました。九州電力の他に、北海道電力、沖縄電力、東北電力、四国電力が相次いで中止を発表しています。
中心になった経緯は、電力会社が保有する送電線の受け入れ能力に限界が達し、系統容量が不足するようになったからです。再生可能エネルギーは電力が安定せず、非常に不安定な電源です。
再生可能エネルギーのような不安定な電力の急増は、大規模な停電のリスクが高まります。さらに再生エネルギーを受け入れるためには、送電線設備の増設、強化が必要になります。
送電線設備の強化には巨額のコストが必要になります、各電力会社がこのコストを負担してまで採算の取れない再エネに設備投資をするメリットは一切ありません。
再生エネルギー買い取りで一人当たりの負担は38万円
固定価格買い取りを期待した一部の参入者のために、国民が電気代を負担するのも辞めてほしいです。
電力会社が固定価格で買い取ることが義務付けされていますが、この買い取り費用は、一般消費者が払う電気料金に「再エネ賦課金」という名目で上乗せされています。
買い取りが中止されたのは、あくまで新たに追加する分だけです。2014年3月末までに資源エネルギー庁に認定された再生エネルギーの設備は、すでに6900万キロワットに達しています。
仮にこれが全て運転したとすると、年間賦課金総額は1.9兆円にも上ります。買取期間は10~20年間続くため、20年間買い取るとすると総額38兆円です。
これを国民1人あたりにすると38万円の負担です。
九州電力をはじめ、電力事業者が再生可能エネルギーの買い取りを中止してくれたのは、有難いことです。
結局のところ、日本のように資源のない国では、原子力・再生エネ・火力をバランスよく使う必要があります。市場を強引にゆがめてまで無理に発電しようとすると、そのしわ寄せをくうのは国民です。