セミリタイアしたサラリーマン投資家
2017年夏にセミリタイアし、海外と日本のデュアルライフを目指します

ヘリコプターマネーが実行された場合の個人投資家の対策

 

ヘリコプターマネーとは、あたかもヘリコプターから現金をばらまくように、中央銀行あるいは政府が、対価をとらずに大量の紙幣を市中に供給する政策、と定義されています。

 

この言葉が、最近メディアで大きく取り上げらるようになりました。理由は、ヘリコプターマネーを名付けたアメリカの前連邦準備制度理事会(FRB)議長「ベン・バーナンキ氏」が、2016年7月に安部首相と会談したからです。

 

この会談の中でバーナンキ氏は、ヘリコプターマネーに言及し、政府が市場性のない永久国債を発行し、これを日銀が直接全額引き受ける手法を挙げました。

 

これは、投資家にとってかなりショッキングなニュースです。この政策の問題は、国際通貨への信用がなくなり、通貨の価値が急激に失われてしまいます。資産家の多くが日本円の保有を避け、海外に資産を退避させる動きが加速します。

 

市場関係者の多くは、あまりにもインパクトが大きいため、実際に日本政府、日本銀行がこの政策を実施する可能性は低いと考えています。

 

私自身も、これは現実味のない政策だと思っていたので、あまり気にしていませんでしたが、この政策を支持する賛成派のコラムを読みました。どうやら、現実的に実施する可能性が低いとは言えないようです。

 

この政策が実施された時でも、冷静に行動するために対策方法について思考しておくことは、とても重要です。

 

ヘリコプターマネーは法律で禁じられている

 

実際には、国債の直接引き受け(ヘリコプターマネー)は、法律で実行が禁じられているほど危険な政策です。しかし、これには裏があって、財政法第5条によると、国会の承認が得られれば「実施可能」となっているようです。

 

まず現在、日銀が市場で行っている「買いオペレーション」と「国債の直接引き受け」は明確に違います。買いオペとは、政府が国債を発行して、これを市場を通じて民間の金融機関が買い取ります。そして、その金融機関が買った国債を最終的に日銀が買い取ることをいいます。

 

対する国債の直接引き受けとは、名前の通り市場を介さずに、政府から直接国債を引き受けることをいいます。なぜ、これが法律で禁止されているかというと、中央銀行による国債の直接引き受けが、過去の歴史の中で高インフレを発生させるトリガーになっているからです。ほとんどの先進国で、この取引は禁止されています。

 

国債を自由に発行できる政府が、紙幣を自由に発行できる日銀に、直接国債を買わせる事を許可してしまえば、政府は無制限に紙幣を発行できるのと一緒です。そうすると、国際的に円の信用がなくなり、コントロールできないほどの高インフレになります。

 

日本で最後にこの政策を実施したのは、1931年高橋是清首相です。「日銀の国債直接引き受け」により当時のデフレを脱却する事に成功しましたが、その後は高インフレに悩まされます。また、この政策の出口戦略に失敗し、軍部に暗殺されています。

 

そして、最終的に世界大戦に突入するという黒歴史になっています。結果的に紙幣発行が第二次世界対戦のための軍事費調達に悪用されてしまいました。(この事例は、成功事例として持ち上げられる場合と、失敗事例として挙げられる場合がある)

 

インフレを正しくコントロールできれば、有効な手法かもしれませんが、実際にはコントロールできないのがインフレです。政府が自由に通貨を無制限に発行できるということは、非常に怖いことです。必ず、旨味を知った一部の政治家によって悪用されてしまいます。

 

ヘリコプターマネー支持者の意見

 

山崎元氏「インフレ政策に躊躇など不要だ」

 

氏は証券会社に所属せず、中立的な立場(利益関係がない)で個人投資家向けにアドバイスしています。自身で投資を行っていないため、ポジショントークもないため、信用できる情報が多いです。

 

コラムの中で、ヘリコプターマネー的政策を取ることに躊躇はいらないと述べています。その理由は、「新発国債を一時的に金融機関に買わせて、それを日銀が買い取る「日銀トレード」が定常化した現状は、財政支出面で不十分ながらファイナンス的には、すでにオスプレイ並みのヘリコプターが飛んでいる状態だと言える。」

 

確かに納得できる意見です。どのみち日銀の独立性はすでになく、市場から調達しているものの、政府が発行した国債の供給量に合わせて、日銀は買いを行っています。こうなってくると、「市場からの買いオペ」と「国債の直接引き受け」の境界は、非常にあいまいです。

 

さらに氏によると、「不換紙幣を流通させている通貨自体が人工的なモノだから、その価値を調整することに躊躇する必要はない。その価値を調整できないなんて考えること自体がバカげている。」と述べています。

 

政策を実行している実行者からすると、こういう感覚でインフレ政策を実行しているかとイメージすることができました。ヘリコプターマネーと聞くと、市場に大きなインパクトを与えそうですが、現在の政策と冷静に照らし合わせると、それほど大きな違いはなさそうです。

 

そう考えると、ヘリコプターマネーの対策というよりも、現在の経済状況と同じようにインフレ対策の延長で考えればいいということになります。

 

ヘリコプターマネー政策の対策

 

ある程度すでに資産を築いている投資家によると、この政策が実施されるとわかると、現金相当物を外貨に変えるなど早急に対応するようです。

 

メディアではかなり盛り上がっていますが、個人投資家はそれほど意識する必要はないと思っています。数百万円しか資産がない投資家であれば、わざわざ対策したとしても効果は大きくないし、数千万円以上ある投資家は対策するべきだと思いますが、そこまで資産を築いているならば、すでにインフレ対策は十分に取っている気がします。

 

例えば、使い道のない現金がある程度銀行貯金にあって、リスク回避のために米国株に投資するのは、有効かもしれません。しかし、今ある金融商品をわざわざ売却して、海外の口座へ移動して、株を購入するのは、それなりに手間とコストがかかります。

 

それに、すでに資産を株で持っているのなら、株はインフレで最もマシな対策方法として挙げられます。リスク回避した先の通貨が日本通貨より先に暴落する可能性があります。世界的な金融危機が起きると、日本通貨が買われるほど、現状は国際的に信用された通貨です。

 

個人的には、日本通貨に対して悲観的なニュースを見ると、リスクヘッジのために米国株を買いたくなりますが、資産がそれほど多くないことと、インフレに強い銘柄を保有しているので、これからも同じスタイルで投資を続けていきます。

 

ただし、不況に陥った時に消費者が、真っ先に財布の紐を締めるような、なくても困らない商品やサービスを提供している、インフレに弱い銘柄の保有率が高い場合は、十分に注意した方がよさそうです。