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東京電力の賠償金は、全ての電力会社で負担する

東京電力の賠償金は、総額で7兆円と言われています。2015年の東京電力純利益は、4500億円なので、この利益を全て負担したとしても、「15.5年」掛かってしまう程、巨大な債務です。ではこの債務は、誰が負担することになるのでしょうか。

 

結論から言うと、この賠償金を支払うのは「原子力損害賠償支援機構」になります。

 

この機構の収入源は、原発を持っている沖縄電力以外の電力会社が負担する「一般負担金」と「日本国政府が発行する国債」の2つです。交付された国債は国に返さなくてはならないものです。

 

今回の大震災のように一時的に資金が大量に必要になったときは、国から資金調達(税金から)して、それを全電力会社が最終的に返済していくということになります。つまり、実質的に東京電力の損害賠償責任を全電力会社が、債務に対して責任を負ったという形になります。

 

今回の事故の当事者は東京電力ですが、「一般負担金」の事故に応じた負担割合が記されていません。また、東京電力が被災者のために使っている賠償金に対しても、以下のように定義されているだけです。

 

「特別負担金額は、認定事業者の収支の状況に照らし、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保に支障を生じない限度において、認定事業者に対し、できるだけ高額の負担を求める」

 

できるだけ高額の負担を求めるとあるので、「できるならたくさん返してください」という意味です。賠償金額は、東京電力が長期に渡って返済するのが義務だと思っていましたが、どうやら違うようです。

 

電力事業はあくまで国の政策によって成り立っている事業なので、一般企業とは扱いが違います(良いか悪いかは別として)。事故直後は法的整理や倒産などの議論を、ニュースや報道でたくさん見ましたが、今の状況を見ると、やはりそうはならないようです。

 

冷静に考えると、東京電力に損害賠償債務がある以上、100%減資で法的整理したら、他の誰かが、代わりに負債を支払うことになります。JALの時のように株主に責任を押し付けて、都合よく再出発という事はありえません。東京電力を倒産させるということは、国民の税金か他の電力会社の利益で、賠償金の債務を負うことになるからです。

 

そう考えると、今のシステムのように他の原発を持つ電力会社間で、負担していくのが、一番合理的な選択だと思います(アメリカの原発事故の場合でも、他の電力会社も一緒に対応しています)。今回のような原発事故は、全ての電力会社が共通で抱えるリスクになるからです。

 

【参考】
原発事故の損害賠償原資は、どこから得るか
第11回 財務諸表で読み解くインフラ企業・太田康広教授(4)