サラリーマン投資家
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共通通貨ユーロが持つ「構造的な欠陥」

 

イギリスのEU離脱によって、設立以降拡大を続けてきた欧州連合の流れが大きく逆向きに回転を始めました。ベルギー、ドイツやフランスなどのEU主要国が、欧州連合を維持できるのか、他にも離脱する国が増えていくのか、とても興味深い展開になりそうです。

 

欧州連合の元になる元加盟国は、ベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダの計6カ国です。現加盟国はイギリスを入れて28カ国です。(イギリスの離脱は2018年予定)

 

1999年1月、基準を満たした10カ国により統一通貨「ユーロ」が誕生しました。ユーロは準備通貨として、アメリカドルの次に重要な通貨の地位を有しています。現在ユーロを導入している国はヨーロッパの19カ国です。

 

ユーロが誕生した背景は、世界一の準備通貨のドルに対抗する別の通貨が必要だったからです。世界最大の債務国であるアメリカ一国の主要通貨だけだと、アメリカ経済に大きく左右され、リスクが高いからです。欧州連合は一つ一つの国は小さいですが、すべて合わせるとアメリカよりも経済規模が大きく人口も多くなります。

 

欧州連合やユーロの誕生でたくさんのメリットがありました。パスポートを必要とせず、ユーロ圏内で人や物が自由に移動でき、貿易の手続きを簡素化でき、関税を低く抑え、EU圏内の取引量を増やすことができます。(巨大な自由経済貿易圏)

 

しかし当然ながら問題点もあります。加盟国によってそれぞれの経済状況は大きく異なるからです。債務国と債権国、弱い通貨と強い通貨など、経済が順調なドイツと経済が悪化しているスペインとポルトガルとでは、別々の金融や為替政策を行う必要があります。

 

ユーロ圏が拡大して経済がうまくいっている状況では、こういうリスクは中々表に出てきませんが、経済が一度悪化したら、徐々に表面化してきます。(そいういう意味で、イギリスなどユーロを採用しなかった国々は正解だったかもしれません)

 

実際のところ、その国の経済が悪化したときに政府ができる対策は2つだけです。
[1] インフレ覚悟で国債を大量に発行する(通貨を刷る)
[2] 他国からお金を借りる

 

ユーロに加盟しているということは、自国通貨を持っていないため、通貨を刷る(通貨調整)という選択肢が完全になくなります。結果、ユーロ圏内からお金を大量に借ります。

 

財政破綻寸前のギリシャは返済リスクの高い国なので、本来であれば、お金を借りるために金利は高く設定される必要がありますが、共通通貨を使っているため、ドイツなどの優良国から安い金利で借りることができます。また、EU発の世界経済の混乱を理由に、ドイツは融資を断ることができません。

 

破綻レベルのどうしようもない国に、お金を貸さないといけないという事は、地獄のような状況です。自分の国の経済さえうまくいっていないのに、自分たちの生活水準を引き下げてまで、堕落してる国にお金を融資したい国はありません。結果、イギリスのように離脱を考える国が増えます。

 

結局のところ、ユーロの問題は主要国が、本来なら条件を満たしていないギリシャのような国まで容易に加盟させて、出口戦略(脱退させるルール)を十分に考えてこなかったことが要因だと思っています。

 

本来であれば、EUから抜けて欲しいのはイギリスではなく、ギリシャやアイルランドのはずです。多少の混乱を伴ってでも、ギリシャを支援するべきではなかったと思います。目先の安易な解決策をとった事により、大きな代償を支払う事になってしまいました。自業自得の結果です。

 

企業でも個人でもなんでもそうですが、一度財政破綻に陥った国は、回復の見込みがなければ融資するべきでないです。一度破綻した国が経済回復するために、「通貨暴落」は必要不可欠なプロセスになるからです。その国の通貨が暴落したら、次第に輸出競争力が高まり外貨を稼ぎます、外からの観光客も増え、次第に国内の消費も回復していきます。

 

お金が足りなくなったら、またた外から金を借りてでは、危機を長期化させるだけです。いつまで経っても、国内の消費はずっと落ち込んだままです。(バブル崩壊後の日本の銀行と同じ)

 

欧州連合を維持したいと思っている主要国は、他の国の離脱を防ぐために、今後イギリスにとって不利な貿易や条約を押し付けてくると思います。これを「賛成」するか「反対」するかで、EU内の勢力が真っ二つに分かれそうな予感をしています。

 

次に離脱に向けた国民投票をする国は、
「ユーロを導入していない」
「ユーロから支援を受けていない」
「国の財政が比較的厳しい」
になると思います。

 

共通通貨ユーロの欠陥は、誕生当初から一部の経済学者によって指摘されていたことです。それが近年のEUの景気悪化で一気に表面化されてしまいました。欧州連合の主要国はこの逆向きの大きな流れを、元に戻すことはできるのでしょうか。

(EU圏内は混乱しますが、日本経済はほとんど影響がないと思っています)